『カムカム』に声だけで癒やしを与えるさだまさし 時を超えて安子を救った稔と金太

『カムカム』に癒やしを与えるさだまさし

 戦後の荒波を幼い娘と共に生きる安子(上白石萌音)に、神様は容赦なく試練を与え続ける。誰に頼ることもできず、疲れ果てた安子の顔をもう見ていられなくなったその時、一軒の家から英語の歌が聞こえてきた。

 1946年2月、講師・平川唯一による「英語講座」がスタートしたのだ。『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第23話では、平川演じるさだまさしの優しく朗らかな語りが、前週から続く安子と彼女を見守る視聴者の哀しみを癒していく。

♪「Come, come, everbody. How do you do, and how are you?」

 “カムカム英語”の愛称で親しまれた英語講座は、毎日夕方6時になると童謡「証城寺の狸囃子」のメロディに乗せたテーマソング「カム・カム・エヴリバディ」で幕を開けた。戦後の日本を明るくしたいという平川の願いが込められたその曲は、働き詰めの日々を送る安子を元気づける。安子は仕事が終わると、ラジオが流れる民家の前でるいと一緒に英語講座を聴いていた。

 そんなある日、訝しげにこちらを見る主婦が一人。おそらく空き巣でも疑われたのだろう。安子は慌てて、売り物の芋アメをお詫びに渡して逃げた。るいを食べさせるだけで精一杯の安子にラジオを買う余裕などない。

 戦時中の金太(甲本雅裕)がやっていたように、安子は芋に乾燥麦芽を加えて甘みを引き出す。より美味しくなった芋アメは以前より売れ始めるも、麦芽の仕入れ代が高く生活は一向に楽にはならなかった。ろくに食べず、働いてばかりの安子はついに倒れてしまう。そんな安子を助けたのは、彼女を空き巣と疑っていた主婦だ。

 彼女の名前は、小川澄子(紺野まひる)。澄子は2人の子どもがたいそう気に入った芋アメを再び購入しようとしていたが、倒れた安子を家で寝かせ夕飯まで振る舞ってくれた。誰もが戦後を生き抜くために必死な中、赤の他人である安子に親切にしてくれる澄子の笑顔は温かい。かつての橘家がそうだったように、家族が集合してラジオを聴く懐かしい光景も確かな希望を感じさせてくれた。

「英語の勉強はもうやめよう思うてました。亡うなった夫との思い出が詰まっとるから、つろうて。しゃあけど、あの『カム・カム・エヴリバディ』いう曲が流れてきた時、聴きいってしもうた。(中略)平川先生の温けえ声聴きょうたら、大丈夫どねんかなる、明日も頑張ろういう気になれるんです」



インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる