『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』海外で賛否両論のワケは“愛”にあり?
また、レイティングが前作同様にPG-13であり、『デッドプール』ほどのグロさはなく、『LOGAN/ローガン』『ジョーカー』ほどのシリアスさもないという意見もある。予想通り、劇中のカーネイジの虐殺表現は抑えられているようだ。『ロード・オブ・ザ・リング』のゴラム役などモーション・キャプチャーの第一人者であるサーキス監督の手腕を楽しみにしていた批評家はがっかりしているようで、Empireは「大胆なレイティングともっと大きな予算が与えられていたら、サーキスは何を作れたかと考えずにいられない」と記し、ヴェノムを超越するカーネイジの残虐性を表現してほしかったと残念がる。ただ、CGは改善したと書くメディアは多い。
90分という短い尺についても意見は分かれ、カーネイジやシュリーク(ナオミ・ハリス)の背景説明は極力省略されたことにVarietyは「説明が足りない」と不満を表している。一方、「中だるみしない」「90分で描きたいことを表現している」と評価する向きも強い。
様々な受け止め方があるが、全体的に1作目よりも評判は上々で、それは万人が楽しめるコメディだと頭に入れて観る観客が増えたからだろう。英大御所批評家のマーク・カーモードは、自身のYouTubeで「ジェットコースターのような映画だ!」と4DXで大はしゃぎしたエピソードを語っている。エディとヴェノムの風変わりな愛を中心に展開される、めまぐるしいストーリーを楽しんだ者勝ちと言えよう。
また今作は、他マーベル映画と同じく恒例のポストクレジットシーンが用意されており、すでに視聴した観客の間では話題となっている。
マーベルファンにとっては、ヴェノムと他作品とのコラボも気になるところだ。同作品は、種々の事情によりマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)とは一線を画したソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SSU)の作品だが、ファンからはMCUスパイダーマンとヴェノムの共演を期待する声も大きい。2021年8月にソニー側のユニバースは、ソニー・ピクチャーズ・ユニバース・オブ・マーベル・キャラクター(SPUMC)から、現ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SSU)へ改名された。新名では「スパイダーマン」の名前が出ていることから今後の展開に期待が高まる。2022年には同ユニバースから『モービウス』が公開予定。すでに予告の中で「ヴェノム」の存在が言及されており、つながりに着目したい。
参考記事
・Venom: Let There Be Carnage review – Tom Hardy loves himself, literally, in this surprisingly sincere sequel
・Tom Hardy chews up Venom: Let There Be Carnage with chaotic glee
・The refreshing, bad romance of Venom: Let There Be Carnage
・Venom: Let There Be Carnage – The baddest bad movie of the year
・‘Venom: Let There Be Carnage’ Review: Tom Hardy and Woody Harrelson Try to Out-Crazy Each Other
・Venom: Let There Be Carnage Review
■公開情報
『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』
12月3日(金)全国ロードショー
監督:アンディ・サーキス
脚本:ケリー・マーセル
原案:トム・ハーディ/ケリー・マーセル
出演:トム・ハーディ、ウディ・ハレルソン、ミシェル・ウィリアムズ、ナオミ・ハリス
配給:ソニー・ピクチャーズ
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