松村北斗、『カムカムエヴリバディ』稔はこれまでの役と違う? 存分に発揮される演技の才

 ところで前回の朝ドラ『おかえりモネ』では、“相手役”ではないにしろそれに限りなく近い幼なじみの役としてKing & Princeの永瀬廉が出演していたわけだが、ジャニーズ俳優が朝ドラで重要ポジションを立て続けに演じるというのはかなり異例のことではないだろうか。90年代には『かりん』の堂本剛、『春よ、来い』の国分太一、『あぐり』の生田斗真と、登場人物の誰かの息子というポジションで出演を果たし、それは近年の『ごちそうさん』『あさが来た』のなにわ男子・西畑大吾が継承することになったが、“相手役”となると『てるてる家族』の錦戸亮と『純と愛』の風間俊介ぐらいであろう。

 もとよりヒロインを演じる女優のみならず、相手役など劇中の重要な役どころとして登場する俳優たちにとっても大きなブレイクポイントとなってきた朝ドラ。そこにデビュー組メンバーが続けて据えられるというのは、ジャニーズの事務所としてのスタンスの変化を感じると同時に、永瀬や松村にそれだけ俳優としての期待がかけられていることの表れとも取れる。

 第9話の終盤、大阪に帰る前に勇(村上虹郎)とキャッチボールをしていた稔は、勇から安子への想いを聞かされ、思わずボールを落としてしまう。日付をまたぎ第10話の冒頭でもその続きが描かれ、二人はぎこちなくもキャッチボールを再開させる。そして「あんこ(安子)も甲子園も諦めん」と言って勇が力を込めて投げる球を、稔は今度はしっかりと右手を添えてキャッチする。安子をめぐっての弟との三角関係に動揺しつつも、弟の想いをなんとしても受け止めようとする兄としての葛藤が、手首から先の演技で体現されている。この演技を見せられたら、稔という青年をついつい応援したくなってしまう。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか 
写真提供=NHK

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