ハロウィンコスチューム人気の変遷 今年は『イカゲーム』盛況の一方で禁止の動き?

 2021年、今年もハロウィンがやってきた。10月25日から東京都は制限を全面解除し、飲食店の営業時間や酒類提供が緩和へ。もちろん、この季節になってくると渋谷の大混雑が毎年メディアで注目されているが、2020年は外出自粛が求められ例年に比べて人の流れも落ち着いていたそう。そんな中でも、特にハロウィンコスチュームの人気が高かったのが『鬼滅の刃』。10月16日に『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が公開されたばかりということもあり、炭治郎や禰豆子、伊之助のコスプレをする人が見受けられた。

 『鬼滅の刃』が2020年の(そして日本歴代の)大ヒット作であることは自明であり、ハロウィンの時期にはその年に人々からの人気を集めた作品がわかるようになっている。昨年はコロナ禍によって全世界的に自粛ムードだったものの、今年はアメリカなどでハロウィン解禁の雰囲気が漂っている。なにより、全世界で大ヒット中の『イカゲーム』のコスチュームが今飛ぶ鳥を落とす勢いでバカ売れしているのだ。そこで、ここ数年のハロウィンで売れたコスチュームを辿りながらその人気の背景を探っていきたい。

2019年に最も売れた映画系コスチュームは……?

『ブラックパンサー』(c)2018 MARVEL

 米メディアKANTARが調査した、9月1日から10月16日までの間に最もグーグルの有料検索広告のクリック数が高かったコスチュームランキングによると、栄えある第1位は『ブラックパンサー』のブラックパンサーだった。続く2位以降は、『ワンダーウーマン』のワンダーウーマン、『アリス・イン・ワンダーランド』のマッドハッター、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のスター・ロード、『IT/イット』のペニーワイズ、『バットマン』のバットマンである。そのほかにも、DCドラマ『ザ・フラッシュ』のフラッシュ、『モアナと伝説の海』のモアナ、『スター・ウォーズ』のチューバッカやストームトルーパー、『アダムス・ファミリー』のウェンズディ、『ハリー・ポッター』のハリー・ポッターに『ストレンジャー・シングス』のイレヴン、『ジュラシック・パーク』の恐竜、『スパイダーマン』のスパイダーマン、『マレフィセント』のマレフィセントといった作品とキャラクターが挙げられていた。(参考:Halloween 2019 brings surprising advertisers|KANTAR

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』

 『ブラックパンサー』は2018年度の全世界興行収入1位を獲得した作品だが、2019年に公開された『アベンジャーズ/エンドゲーム』にも登場した。スター・ロードにも同じことが言えるが、決して二人は本作のメインキャラクターではない。単純に人気だからという理由のチョイスかもしれないが、それ以上に二人がマスクをつけるキャラクターであることも人気の一因のように思える。2019年に『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』が公開されていたこともあり、先述のランキングにスパイダーマンが含まれていたが、こちらもマスクをかぶっているキャラ。他のキャラクターを見ても、基本的に自分の顔が見えないようになる仮装は、その分気負いすることもないためそれだけで人気が高いのではないだろうか。これは、『イカゲーム』のコスチューム人気にも通じるものがあるように感じる。

 また、2019年のNetflix年間視聴回数ランキングのドラマ部門1位である『ストレンジャー・シングス 未知の世界』が人気コスプレに加わっている点も、Netflixの国民的人気っぷりが反映されている。

2020年と2021年の決定的な違い

『イカゲーム』Netflixにて配信中

 その年の人気作品がランキングに反映されるのは、普通のことではある。ただ、ハロウィンに世相が表れていると特に強く感じられたのは2020年だ。グーグルが発表した“2020年のハロウィンに全米でもっとも検索されたハロウィンコスチューム”は、1位が「魔女」、2位が「恐竜」、3位が「ハーレイ・クイン」、4位が「うさぎ」、5位が「クラウン」、6位が「天使」、7位「フォートナイト」、8位「忍者」、9位は「悪魔」、10位は「スパイダーマン」だった。前年がヒット作などを中心としたその年の映画/ドラマカルチャーの盛り上がりを示す結果になったことに対し、2020年はコロナウイルスの大流行が影響してハリウッド大作が軒並み延期になってしまったという社会的背景が反映されているような結果に。つまるところ、ハロウィンの盛り上がりはハリウッドのそれに呼応していると言っても過言ではないのだ。

 そんなこんなでの2021年のハロウィンは、ようやくハリウッド映画も公開されはじめたり、ステイホーム生活によって配信作品にも注目が寄せられた結果、現在全世界で大ヒット中のNetflixオリジナル『イカゲーム』関連のコスチュームの姿を多くみることになるだろう。Design Bundlesの調査によると、「イカゲーム コスチューム」での検索数が他の映画やテレビドラマのキャラクターコスチュームに比べて圧倒的に高いとのこと(参照:'Squid Game' Halloween costumes are topping internet searches|CNN Entertainment)。さらに、多く利用されている11の衣装サーチャーの検索結果の3分の1を占めているというのだ。そのほかには、キャットウーマン、ハーレイ・クイン、ジョーカー、スパイダーマンといったアメコミキャラが続いたそう。

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