『イカゲーム』製作秘話をキャスト&監督らが語る 「サンウはただ冷徹なだけの男ではない」
サンウ役のヘスは、注目すべきエピソードとして第2話『地獄』を挙げている。コンビニでサンウとアリが並ぶシーンは、監督いわく、「サンウがただ冷徹なだけの男ではないことを示している場面」とのこと。ヘスも特に気に入っている場面だと述べ、サンウは「実際には思いやりのある人だけれど、エリートのように振る舞っているのだと思う」と分析した。
ドンヒョク監督は、ヘスの演技がサンウの人物像に厚みをもたらしたことを強調する。「(サンウには)人のために、という精神が残っている。彼らよりも恵まれているのだから、道徳的に正しいことをしなければ、という思いが主な考え方なのです」と述べ、「ヘスがサンウの両面を見事に演じてくださいました」と称えた。
動画内で次に監督とヘスが揃って注目するのが、サンウが練炭自殺を試みる場面だ。母親に電話をかける際にサンウは一度ジャケットを脱いでおり、いざ死ぬ時には再びジャケットを羽織る。即興で撮られたシーンであり、この行動は監督にも当初は想定外だったようである。「だけど、彼にとってはジャケット姿が正装だから、きっとそうするだろうと思いました」と監督は回顧する。
このシーンのサンウについて、ヘスは「僕からすればとても悲しい人」だと述べた。一方、ドンヒョク監督はサンウの自殺未遂について「言葉にならないものを語ることが、人の想像をかきたてる。サンウの感情に言葉はいらない、ここではそのことを描きたかった」と語った。
なお、ジョンジェとヘス、ギョンソンの3人は、ドンヒョク監督による脚本を絶賛。ジョンジェは「最初は設定に惹かれたが、次に脚本を読んだら、役柄の関係性がきちんと描かれていることに驚いた。ゲームで勝たなければいけない理由がしっかりと描かれていた」と言い、ヘスは「それぞれの人生や死までの過程、生存への本能や望みが丁寧に描かれていた」「どの役柄にも特別な台詞があって、それが劇中で彼らを繋ぐ」と力を込めている。
美術を手がけたギョンソンは、「恐ろしいおとぎ話を読んだような印象だった」と言い、「願いや欲望というテーマに新たな解釈を加えることが目標でした。韓国の文化や伝統にきちんとはまるよう、物語を語ることにフォーカスをあわせました」と述べた。
映像の中では、ジョンジェとヘスが感嘆し、演技への刺激を受けたという大掛かりなセットのメイキング映像や衣裳の裏話もじっくりと語られている。『イカゲーム』の演出において、ビジュアルがいかに大きな役割を担っていたかを垣間見ることができるだろう。
ちなみにドンヒョク監督は、映像の最後に、「すべてをお話しすることはできなかったので、もし機会があれば、もっとこの作品について語りたい」とコメント。ヘスも「隠されたメッセージを、もっと視聴者のみなさんに伝えたい」と意欲を見せた。
■配信情報
Netflixオリジナルシリーズ『イカゲーム』
Netflixにて全話独占配信
脚本・監督・演出:ファン・ドンヒョク
出演:イ・ジョンジェ、パク・ヘス、オ・ヨンス、ホ・ソンテ、ウィ・ハジュン、キム・ジュリョン、トリバティ・アヌファム、イ・ユミ