『恋です!』が描くハンディキャップを考える 杉咲花演じるユキコは原作そっくり?
終盤、森生がユキコに「俺とユキコさんじゃ、住む世界が違うじゃないですか」と言う場面があった。この言葉だけ聞くと、見えないユキコと、見える自分では世界が違うと言うように読み取れる。実際ユキコも、「そうだよね……」と俯いていた。いつも明るい彼女だが、やはり心のどこかでは、自分が“普通”ではないという葛藤を抱えていたのだろう。しかし、森生は「ユキコさんは普通の世界で生きてるじゃないですか」と続けた。不良の自分からしたら、家族仲も良く、学校にも通っているユキコは、“普通”であると。
本作は、「“普通”とは何か?」を深く考えさせられる作品である。案外、自分が普通ではないと思って生きている世界が、他人から見たら普通だったりするのかもしれない。また、その逆も然り。
ただ、ユキコと森生が“普通”の恋をしていくには、たくさんの問題が降りかかってくることだろう。前述のイズミのように、愛ゆえに反対する人も出てくるかもしれない。けれど、そんな試練も乗り越え、2人だけの“普通”の恋を育んでいく様子を見守っていきたいと思う。
ちなみに、ユキコを演じている杉咲花は、朝ドラ『おちょやん』(NHK)後、初のドラマ主演となる。黒髪の印象が強い彼女だが、ユキコ役に挑むために茶髪姿に。勝気な性格の奥にあるユキコの温かさが強調されるビジュアルに仕上がっている。
この予告で「誘導してくれるか」と森生の腕をつかもうとしてるユキコさんが、原作ユキコがよくやるこの表情に見えて...
かわいいなぁ pic.twitter.com/2xXVPtrMRu— うおやま🐟ヤンキー君と白杖(はくじょう)ガール⑦巻12/23 (@uoyamangamanga) October 2, 2021
2018年放送のドラマ『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(TBS系)の時にも思ったが、杉咲は原作に忠実な芝居をする女優である。『恋です!』の原作者・うおやま氏も、自身のTwitterにて「誘導してくれるかと森生の腕をつかもうとするユキコさんが、原作ユキコがよくやるこの表情に見えて…」と類似点を取り上げていた。
このほかにも、漫画のユキコの表情に「似ている!」と思う箇所がたくさんあるので、おそらくかなり分析して挑んだのだろう。『おちょやん』を終え、さらにパワーアップした杉咲が魅せる表現にも、注目していきたい。
■放送情報
『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:杉咲花、杉野遥亮、鈴木伸之、奈緒、岸谷五朗、田辺桃子、細田佳央太、戸塚純貴、ファーストサマーウイカ、堀夏喜(FANTASTICS from EXILE TRIBE)、生見愛瑠
原作:『ヤンキー君と白杖ガール』(うおやま/KADOKAWA)
脚本:松田裕子
演出:内田秀実、狩山俊輔
主題歌:「こたえあわせ」JUJU(ソニー・ミュージックレーベルズ)
チーフプロデューサー:加藤正俊
プロデューサー:森雅弘、小田玲奈、鈴木香織(AX-ON)
(c)日本テレビ