Netflix実写版もまもなく配信 今なお愛され続けるアニメ『カウボーイビバップ』とは?

 1998年に放送されて以来、今でも根強い人気を誇るが、11月19日よりNetflixで実写ドラマで配信されることが決まり、再び注目度を増している。映画化はされているものの、しばらく続編が発表されていない中で、約23年間にわたり、これほどまでにファンを熱狂させる要素とは何か、考えていきたい。

 『カウボーイビバップ』は1998年4月よりテレビ東京系で一部テレビ放送され、その後WOWOWにて全話放送されたテレビアニメだ。2001年には劇場作品として『カウボーイビバップ 天国の扉』が公開されるなど、大きな話題を集めた。人気は現在にも続くが、放送開始から順風満帆だったというわけでは決してない。

 テレビ東京系列で放送された際には、銃を乱射するなどのバイオレンスなアクションシーンがある話数が一部カットされて放送される、作品制作は順調だったがなかなかテレビ欄に載らず関係者が本当に放送されるのかヒヤヒヤしたなど、不遇なエピソードが語られている。

 そして伝説となったのが、今でもソフトなどに収録されていない幻の最終回『よせあつめブルース』だ。本来26話構成のところを、テレビ東京放送時に13話構成となってしまい、その最終回に総集編として放送されたもの。それまで放送されていなかったアクションシーンを挿入し、社会や制作に対する皮肉を交えるなど、普通の総集編とは全く異なる話となっている。

 そのエピソードだけ聞くと悪い意味で伝説になりそうなものだが、今作は不運な要素を吹き飛ばし、高く評価されていった。これらのエピソードからも感じられるが、制作スタッフの若さや熱さがあって生まれた作品なのは間違いない。渡辺信一郎監督は放送時33歳で今作がテレビアニメ監督デビュー作であり、本作の成功によって一躍世界的なアニメ監督の1人となる。またシリーズ構成の信本敬子、音楽の菅野よう子も当時30代前半ほどであり、その若手のエネルギーが炸裂している。

 今作の魅力として物語、音楽、映像の3点をあげていきたい。物語は賞金稼ぎであるカウボーイのスパイクとジェットのコンビに加えて、女賞金稼ぎであるフェイ、子供ながらも天才ハッカーのエドと犬のアインの4人と1匹が織りなすオムニバス形式の物語が多い。

 各話タイトルには音楽に関連するワードがつけられ、多種多様な物語が展開される。第22話の『カウボーイ・ファンク』ではゲストキャラクターのアンディとのコミカルなやりとりが印象深い。またこの回では「君の瞳に映る僕に乾杯」というギャグも発揮されている。

 第19話の『ワイルド・ホーセス』では骨董品の宇宙船を修理するドゥーハンの心意気と物語の展開に胸が熱くなるかと思いきや、一転して第20話の『道化師の鎮魂歌』では、暗殺者の東風の風貌と強さ、その末路に、笑い声が耳に残るようなゾッとするホラー的な演出が冴わたる。

 メインストーリーとなるスパイクのライバル、ビシャスが絡む話ではハードボイルドの雰囲気が漂う。神回と評判高い5話の『堕天使たちのバラッド』では、闇社会の権力闘争を背景としながらも、2人の男のプライドがぶつかり合う。「天国を追い出された天使は悪魔になるしかないんだ 」と話しかけるビシャスに対して「俺はただ覚めない夢を見ているだけだ」というスパイクの返しも秀逸だ。

 様々な話がオムニバス形式で展開されながら、各キャラクターたちの心情などが垣間見えるような、洒落たセリフの数々が作品を彩る。第1話の「肉なし青椒肉絲」のやりとりなど、先にあげたように今でもファンの中で語り草になる名言がとても多いのも特徴的だろう。

 次に欠かせないのが菅野よう子の音楽の魅力だ。今では日本を代表する作曲家の1人となったが、アニメ作品は1994年の『マクロスプラス』から一躍注目を集めたものの、今作でもまだ若手の一人だった。だが作品を見たことがなくてもバラエティ番組などで誰もが1度は耳にしたことがあるOPの『Tank! 』をはじめとした数々の楽曲が、作品をより際立たせる。

 先に挙げた『堕天使たちのバラッド』では、序盤のAパートではオペラのシーン以外は1箇所のみアップテンポなBGMが使われているものの、基本はBGMが少ない静かな構成となっている。しかしBパートでは決戦の場所である教会へと向かう場で名曲『Rain』が印象深く流れる。そして讃美歌のような『Green Bird』が流れる中で回想が断片的に行われ、最後にフェイの鼻歌で締めることになり、まさに音楽がもう1つの主役と言える演出が施されている。

 渡辺信一郎作品では、音楽が印象に残る作品が多い。今作の後の『サムライチャンプルー』では、時代劇にも関わらずヒップホップを使用することで、新しい時代劇を生み出す。その他にも菅野よう子と組んだジャズが印象深い『坂道のアポロン』や、海外のアーティストを多数起用した『キャロル&チューズデイ』など、音楽が前面に出てくる作品も多く手がけており、映像との融合が気持ちいい。



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