M・ナイト・シャマラン監督が明かす“映画”の醍醐味 『オールド』で“新しいフェーズ”へ

シャマラン監督が『オールド』を語る

「僕にとって映画は“聖なるもの”」

M・ナイト・シャマラン監督

ーー監督作としては、2016年の『スプリット』、2019年の『ミスター・ガラス』で『アンブレイカブル』3部作を終え、あなた自身も今作からまた新たなフェーズに突入するのではないかと思います。この『オールド』はあなたのフィルモグラフィーにおいてどのような位置づけの作品になるでしょうか?

シャマラン:“自分のキャリアをこういうふうにしよう”ということはあまり意識はしていません。ですが、まさに今おっしゃたように、“新しいフェーズに突入する”というのは正確な見方なのかなと思います。今はすごくジャズっぽい考え方をしていて、ストーリーテリングにおいても、ちょっと変わったリズムというか、動きのあるものにとても惹かれるんです。何かユニークさがあって興味深いストーリーに視点がいくような作品を作っていきたいなと思っています。今のアメリカ映画を見渡してみると、今年成功した映画の中で、オリジナルなアイデアのものはこの作品ぐらいしかありません。他の作品とは異なるところがあるので、私自身、すごく誇りに思っています。

ーー新作を発表するたびに常に観客にサプライズを与えてくれるのがあなたの作品の魅力の一つだと思います。監督の人生において、映画とはどういうものでしょう?

シャマラン:他の人が気にしていないときに、自分が何を大切にしているかが重要で、それは“聖なるもの”だと思うんです。僕にとってそれは映画で、僕にとって映画は“聖なるもの”です。“宗教”とも言えるかもしれません。なので、観る立場においても、消費するような見方は一切しません。家族と一緒にいるときはたまに「軽いものを観たい!」と言われることもあるんですが、「僕がいるとき絶対ダメだ」と言って、かなり厳しくキュレーションしています(笑)。映画ってやっぱり、何か学びがあったり、自分についてくるものがあったり、自分を麻痺させたり、あるいは何か新しいものを感じさせてくれるものだと思うんです。そうでない作品は、僕自身、普段から観ようとは思いません。

ーーとても興味深いお話でした。ありがとうございました。

シャマラン:こちらこそありがとうございました。今回は日本に行けなくて残念です。毎回新作を発表するときは、ヨーロッパや南米とは別にツアーを組んで、日本だけ特別に来たりすることもあるぐらい、日本に行くのをいつも一番楽しみにしてるんです。次回の作品ではぜひまた来日したいですね。今回の『オールド』は、日本からの影響をかなり受けているんです。中でも新藤兼人監督の『藪の中の黒猫』(1968年)は、特に影響を受けた作品の一つ。あの映画の象徴的なシーンがこの映画の中でも登場しますし、ドラムを使った民俗調なスコアも『藪の中の黒猫』から影響を受けています。その辺りもぜひ気にして観ていただければと思います。

■公開情報
『オールド』
全国公開中
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、ヴィッキー・クリープス、アレックス・ウルフ、トーマシン・マッケンジーほか
原案:『Sandcastle』(Pierre Oscar Levy and Frederik Peeters)
監督・脚本:M・ナイト・シャマラン
製作:M・ナイト・シャマラン、マーク・ビエンストックほか
配給:東宝東和
(c)2021 Universal Studios. All Rights Reserved.
公式サイト:old-movie.jp
公式Twitter:@uni_horror

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