『スプリット』主演ジェームズ・マカヴォイが語る、シャマラン監督の才能

『スプリット』J・マカヴォイ インタビュー

 『アンブレイカブル』『ヴィジット』のM・ナイト・シャマラン監督最新作『スプリット』が現在公開中だ。全米で3週連続NO.1ヒットを記録した本作は、誘拐された3人の女子高生と、23人もの人格を持つ謎の男の攻防を描いたスリラーだ。リアルサウンド映画部では、23もの人格を持つ主人公役で主演を務めたジェームズ・マカヴォイにインタビューを行い、初タッグとなったシャマラン監督の印象や、特殊な役を演じるために行ったアプローチなどを訊いた。

「話をもらった時はとても興奮した」

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ーーM・ナイト・シャマラン監督とは今回初めてのタッグになりますね。彼の作品にはどのような印象を抱いていましたか?

ジェームズ・マカヴォイ(以下、マカヴォイ):ナイトの作品はすべてを観てきたわけではないけれど、とても奇妙で変わった作風の監督だよね。いわゆる興行的に当たったような大作でも、どこかとても変わったところがあって、驚きがあるという印象だったね。

ーーそんなシャマラン監督作へのオファーを受けた時はどんな心境でしたか?

マカヴォイ:話をもらった時はとても興奮したよ。僕は変わった作品が好きだから、まず彼の作品へのオファー自体が好印象だったし、脚本も素晴らしかった。僕にとっては脚本が大事なんだ。いくら監督が素晴らしいアイディアを持っていたとしても、内容がそれに追いついていない場合もある。だけど今回の脚本は、5ページごとに驚きをもたらしてくれるものだった。何度も何度も考えさせられるような内容だったんだ。これは一体どうなっているんだと自問自答しながら読むことができたし、奇妙さに加えて笑いの要素や哀愁もあって、本当に魅了されてしまったんだ。だからオファーに対して「YES」と答えるのは僕にとってとても簡単なことだったよ。

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ーーシャマラン監督はオフィシャルインタビューで「ジェームズからアイディアを引き出すことを期待した」という発言をしていましたが、彼とのコラボレーションはどのような形で進んでいったのでしょう?

マカヴォイ:彼は自分の作品に対して確固たるビジョンを持っているから、脚本も最初の段階から固まっていて、僕は彼の書いたものをきちんと演じていくだけだった。多くの作品の場合はそうでなく、その場で思いついたことを反映させたり、即興的な演技を要求されたり、撮影現場で作り上げていくこともあるんだけどね。とはいえ、映画は脚本だけで成り立つものでもないから、脚本以外の肉付けしていく部分は、僕たちキャストも撮影前の打ち合わせやリハーサル期間で、アイディアを出したり意見したり、入念に話し合って撮影に臨んだんだ。

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ーー今回あなたが演じた役柄は、23もの人格を持っているDID(解離性同一性障害)という設定で、劇中では8つの人格が登場します。この役を演じるにあたって何かこれまでの演技と違うアプローチをしましたか?

マカヴォイ:確かにこれまでの演技のアプローチとは多少異なる部分があったね。9人をまったくの別人として演じるのであれば、これまでと異なるアプローチで演じる必要はなかったけれど、今回はひとりの人間の中でそれだけの人格が混在しているというDIDという設定だったから、それぞれの人格を築き上げていく方法を取らなければいけなかった。普段は、自分が演じるキャラクターの出生からそれまでの人生に何が起こったのか、その人物の過去を辿りながら現時点の行動理由を考えていくというアプローチを取っているんだけど、今回はもともとのケビン以外はそのようなアプローチを行わなかったんだ。なぜなら、他の人格は虐待だったりひどい体験だったり何かがトリガーとなって、もともとケビンの中にあった性質が顕著に人格化してしまったものだったからね。だから、今回はケビンの中にある主要な要素をまず自分で探して確認しながら、その性質を人格化する形で取り組んでいったんだ。

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ーー中でも演じるのが楽しかったり挑戦的だったりしたキャラクターは?

マカヴォイ:ヘドウィグは演じているのがすごく楽しかったよ。ヘドウィグは純真無垢でナイーブな9歳の男の子なんだ。いろいろなことに対して無知で、しかも彼自身が内に秘めている恐ろしさを自覚していない。ヘドウィグに関しては、ハッピーだったり優しかったり間抜けだったりという無邪気な少年を僕自身は演じることができて楽しかったけど、観客にとってはそれすらも恐ろしく見えるんだよね。そういう状況を作り出せるキャラクターを演じられたのは自分にとってもクールだと思ったし、演じていてとても興奮したよ。

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