『転スラ』なぜ人気シリーズに? キャラの深部を描く物語の魅力

 TVアニメ『転生したらスライムだった件』(TOKYO MXほか/以下、『転スラ』)の第2期第2部が7月6日から放送スタートし、好評を博している。

『転生したらスライムだった件』

 TVアニメ第1期が2018年10月から2019年3月に放送された本作。2021年になると、第2期の第1部が1月から3月、スピンオフ4コママンガ原作『転スラ日記 転生したらスライムだった件』のTVアニメが4月から6月に放送され、1月から10カ月にも渡って『転スラ』シリーズが放送されつづけている。

 以前には主人公・リムルに焦点を当てたコラム(『転生したらスライムだった件』第2期も好調 異色な主人公・リムルの魅力に迫る)を書いたが、本稿では『転スラ』がどういった作品なのか改めて考えたい。

 本作はいわゆる「なろう系」とも評されるが、もっと突き詰めれば「異世界ファンタジー」作品だ。作品自体が長くなれば相応に作品世界は広がっていくし、「魔王達の宴(ワルプルギス)」の魔王たちやその国々などを含めれば、その後の作品世界がどれほど広がっていくかが想像しやすいだろう。

 現在放映中の2期では、小説投稿サイト「小説家になろう」にて連載されていた全249話で換算すれば65話から83話ほどの話数で、そこから加筆・修正を加えたライトノベルでいえば第4巻から第6巻、川上泰樹が描くマンガ版でいえば第9巻から単行本18巻までのストーリー
(人魔交流編・魔王覚醒編・八星輝翔編)をメインにしている。

 制作の都合上原作とは時系列的に違和感が出てしまう部分もあるが、それも「第2期」が元々想定されていなかったことに由来している。何より原作web版を基にしたライトノベル版とマンガ版が今でも刊行中であることを考えれば、アニメ版のストーリー進行がいかに丁寧にじっくりと描かれているかが分かるだろう。一人一人の考え・立場・思惑を細かく描き、三国志や戦国時代をテーマにしたような密な関係図にすることで作品世界へと誘ってくれる。

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