スカーレット・ヨハンソン対ディズニーの訴訟 エリザベス・オルセンら共演者がコメント
スカーレット・ヨハンソンがウォルト・ディズニー・カンパニーを相手取り、損害賠償を訴えている。これは彼女が主演・製作を務めた映画『ブラック・ウィドウ』が、劇場公開と同時にDisney+(ディズニープラス)プレミアアクセスで配信されたことで、本来得られるはずだった報酬が大幅に減少したことに発端している。ヨハンソンは同作が“劇場でのみ公開される”こと、そして“劇場での興行収入に応じてボーナスが支払われる”契約を交わしたという。しかし、『ブラック・ウィドウ』は劇場公開と同時にDisney+で配信が開始されたことで共食いが生じ、劇場での興行収入が激減したとしている。これによって彼女は、推定5,000万ドル以上の損害が発生したと主張しているのだ。ディズニー側はこれに対して契約は遵守しているとし、ヨハンソンには『ブラック・ウィドウ』のDisney+での配信にあたって追加補償として2,000万ドルを支払ったと反論。しかし裁判は公開ではなく非公開の仲裁裁判を要求している。ヨハンソン側はこれに猛反発し、徹底抗戦の構えだ。
さらにディズニーは「この提訴は世界的なコロナ禍を無情にも無視した、悲しく痛ましいものだ」と批判。これにはハリウッドでセクシャル・ハラスメントへの抗議活動を支援してきたWomen in Filmをはじめ、多くの業界団体がヨハンソンに対する人格攻撃だと反発している。「ビジネスの場面でも、性差にもとづく人格攻撃はあってはならない。女性は男性に比べて自分の権利を主張しようとすれば、人格攻撃にあう環境を作ってしまう」という声明を発表した。
この問題に関して、ヨハンソンと同じくマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に出演しているエリザベス・オルセンが、彼女を称賛するコメントをした。『Vanity Fair』のインタビューでこの件について質問された彼女は、「俳優と報酬の問題については、契約書に書かれているか、書かれていないかが全て」とし、「彼女はすごくタフだし、この話を読んだときは“がんばれ、スカーレット”という感じだった」と語っている(参考:Elizabeth Olsen and Jason Sudeikis Bring Their Characters to Streaming, With Only a Little Trepidation)。オルセンのようにヨハンソンを支持する俳優や業界関係者は多いと言われているが、実際に個人で表立って声を挙げている人物は少ない。
実はヨハンソンのディズニーに対する訴訟について、いち早く反応したのはMCUの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズでドラックスを演じているデイヴ・バウティスタだった。彼は自身のTwitterにヨハンソンの訴訟の記事を引用し「彼ら(ディズニー)にはドラックスの映画を作るべきだと言ったのに、返事は“ノー”だった」と投稿した。
これは「ドラックスの映画に自分が主演していれば、ヨハンソンのように訴えたりしなかった」という意味なのか、間接的にディズニーを批判しているのか、真意のほどは定かではなく、コメント欄にはそういったファンからの困惑や批判の声が見受けられる。一方で、過去にヨハンソンと共演経験のある俳優アレック・ボールドウィンは、自身のTwitterに「#TeamScarlett」のハッシュタグを投稿し、明確に支持を表明している。