佐藤信介監督による『ヒロアカ』ハリウッド実写版はどうなる? 過去の事例などから考察

 コミックスの世界累計発行部数が5000万部を突破した、『週刊少年ジャンプ』(集英社刊)で連載中の堀越耕平による『僕のヒーローアカデミア』(以下、『ヒロアカ』)。TVシリーズ、劇場版共に好評の『ヒロアカ』がハリウッドで実写映画化されることが2018年に発表されていたが、先日ついに続報が届き、佐藤信介が監督を務めることが決定した。

 『ヒロアカ』は、“個性”と呼ばれる超常能力を持つ人々の存在が当たり前の世界を舞台に、主人公・緑谷出久、通称“デク”が、社会を守り、“個性”を悪用する犯罪者“敵<ヴィラン>”に立ち向かう“ヒーロー”になるため、ヒーロー育成の名門・雄英高校で仲間たちと共に成長していくヒーローアクションストーリー。

 これまで日本や海外で、数々の実写化作品が制作されてきた日本の漫画やアニメ。ハリウッドの技術によって高いクオリティで作られた近年の作品といえば、ニンテンドー3DSのゲームソフトを原作とした『名探偵ピカチュウ』などだろう。

 日本発の版権コンテンツとはいえ、『ガリバー旅行記』や『グースバンプス モンスターと秘密の書』などのロブ・レターマンが『名探偵ピカチュウ』の監督を務めたように、ハリウッドで実写化される作品に日本人監督が抜擢されるのはかなり珍しいことだと言えるだろう。『ヒロアカ』ファンであり、ハリウッドの情報に詳しい映画ライターのアナイスは、ハリウッド実写版『ヒロアカ』に佐藤監督が抜擢されたことについて、以下のように語る。

佐藤信介監督

「佐藤監督は、コミック原作の実写化作品を多く手がけていて、もともと海外での評価が高い人物です。『アイアムアヒーロー』はシッチェス・カタロニア国際映画祭やSXSW 2016など海外の賞を多数受賞していて、その2015年くらいから、海外のインディーシーンで名前が広がっていました。佐藤監督は原作コミックが海外で人気の『BLEACH』実写版の監督も務めていて、『ヒロアカ』と同じ『週刊少年ジャンプ』(集英社)の作品を手がけてきた実績もあります。佐藤監督が直近で手がけ、シーズン2の製作も決まっている、2020年12月にNetflixで全世界配信された『今際の国のアリス』の実績も大きいように思います。海外でも評判は高かったですし、『今際の国のアリス』に加え、映画『キングダム』の続編も進行中なので、作品を成功に導く実績があることが、『ヒロアカ』ハリウッド実写版に佐藤監督が抜擢された一番の理由だと思います」

『今際の国のアリス』予告編 – Netflix

 佐藤監督によってハリウッドでどのような作品が生まれるのだろうか。アナイス氏は日本人監督がハリウッドで活躍した例を挙げて説明する。

「日本人監督として見ると、清水崇監督が『呪怨』のハリウッド版(『THE JUON/呪怨』)の監督に抜擢されているのと、10月8日公開の映画『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』で園子温監督がハリウッドでデビューを果たしています。ただ、『THE JUON/呪怨』は1作目こそ興収的に大ヒットしたものの、2作目は予算2000万ドルに対して約7000万ドル($70,711,175)と低迷し、両作品とも批評家からの評価は低いものでした。原因はおそらくオリジナルとの方向性の乖離でしょう。清水監督は1作目も出資者側から色々注文を受けていたようですし、脚本がオリジナル版とは違う海外の方だったのも大きいと思います。そのあたり、どのようなパワーバランスで映画が作られていくかが鍵になるのではないでしょうか」



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