2021年はオリジナルアニメ豊作の1年 今期は『Sonny Boy』『白い砂のアクアトープ』に注目

 2021年はオリジナルアニメの1年と言えるだろう。

TVアニメ『Sonny Boy』(c)Sonny Boy committee

 映画では『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が100億円以上の興行収入を達成し、日本を代表するシリーズであることを印象づけた。この夏では『竜とそばかすの姫』が様々な議論を巻き起こしながらも、多くの観客を呼び込んでおり、高い注目度を証明した。

 オリジナルアニメがヒットする環境というのは、アニメ業界全体を鑑みても特に歓迎したい。アニメの歴史を振り返っても『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』『新世紀エヴァンゲリオン』『魔法少女まどか☆マギカ』など、その時代を象徴するオリジナルアニメは多く誕生してきた。オリジナルアニメは、アニメ文化の枠を広げ、さらにその可能性を深く掘り下げていくものが多い。

 近年では、『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。』や『宇宙よりも遠い場所』などがオリジナルアニメとしてのヒットを記録した。だが、オリジナル企画はリスクが高いというのもよく聞かれる話である。

 日本アニメは手塚治虫が原作を手がける『鉄腕アトム』の時代から、漫画作品のアニメ化を果たすことで、原作である漫画の知名度を上げていく戦略と共に発展してきた。それは現代も状況が似ており、やはり人気漫画やライトノベルのアニメ化となると、放送前から注目度も高くなる。例えばこれから放送されるテレビアニメでは『チェンソーマン』が高い注目度を集めているが、これも『週刊少年ジャンプ』の作品という知名度によるものが大きいのも間違いないだろう。これだけ注目を集めるとなると、制作会社側も力を入れて予算や人員を割くことができ、見通しが立つのも大きい。

 しかし、オリジナル作品は視聴者が誰もその内容を知らないために、どのような反応をされるかが未知数だ。また原作がない作品であっても、プラモデルなどの玩具販売のための宣伝として役割が強いアニメ作品も多く、オリジナルだからといって玩具の販売の障害となるような展開は難しく、何でも好きに表現できるわけではないケースもある。だが一方で、原作がないという利点を活かし、誰も予想できないような展開や挑戦的な物語、アニメ演出で勝負することができる。

 2021年の春のアニメで印象に残ったオリジナルアニメは『Vivy -Fluorite Eye’s Song-』と『ゾンビランドサガ リベンジ』と、そして『オッドタクシー』だった。この3作品はいずれもオリジナルだからこその強みを発揮し、勝負してきた印象だ。

 まず映像表現で大きな勝負をしてきたのが『Vivy -Fluorite Eye’s Song-』だろう。『進撃の巨人』シリーズなどを手がけ、その高い技術力で評価されてきたWIT STUDIOのオリジナル作品だ。今作は近未来を舞台としたSF作品なのだが、自律人型AIのヴィヴィが爆発する建物を背景に激しく動き回り、立ち回る姿の迫力に度肝を抜かれた視聴者も多いのではないだろうか。

 映像表現という意味では『ゾンビランドサガ リベンジ』も欠かせない。こちらはゾンビがアイドルになるという異例のコンセプトの作品の2期目となる。最終話では約13分にわたり、実際のライブと見間違えるばかりの観客が思わず歌い出し、声を挙げて応援したくなるようなライブシーンを作り上げた。コロナ禍による大規模ライブが制限される中という現実の社会事情もあり、アイドルアニメ作品として、1つの伝説となるクオリティだったことは間違いない。

 そういった派手な映像表現で勝負する作品もあれば、練り込まれた物語で勝負したのが『オッドタクシー』だ。物語そのものは何十人もの登場人物が交差する群像劇であり、次にどう転ぶかわからないドラマにもきちんと決着をつけ、満足度も高かった。ともすれば実写ドラマでも可能な内容に思えるが、ある仕掛けによって本作はアニメでしかできない作品となっており、作品の根幹部分に対する大きな驚きを視聴者に提供した。

 上記の3作品はいずれもオリジナルという部分を活かし、映像表現や物語表現で勝負してきている。



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