スカーレット・ヨハンソンのディズニー提訴、事態は深刻化 コロナ禍で契約形態も変わる?

 配信・劇場両方での公開という形態によるトラブルというのはコロナ禍の今だからこそのようにも思える。久保田氏は以下のように現在の映画界を分析する。

「アメリカは昨年の3月13日に国内全ての映画館を一度休業しました。今は全国的に映画館が営業している状態ではありますが、座席制限はまだ続いています。そうしたなかで、ディズニーに限らず、ワーナーやユニバーサルなどの大手メジャーが自社の動画配信サービスを押し進め、急遽配信のみや劇場と配信の同時公開に切り替えるケースが相次いでいます。今回の訴訟の行方によっては、モデルケースとなって同様の訴訟が起きる可能性もないとは言い切れません。『ブラック・ウィドウ』は初週末こそこの1年半で最高の興収を記録しましたが、往年のMCU作品と比較すれば少々寂しい数字でした。ディズニーも現状、会社として収益を上げるために公開と同時配信という形態は取らざるを得ない部分もあると思います。この1年半で劇場公開と配信の関係が目まぐるしく変化しています。ディズニープラスのプレミア アクセスのような課金制であれば、配信としての収益ははっきりと出ているはずなので、その金額をもとに双方で合意できる内容に契約の見直しを進めていくことが当面の策のように思えます。同時に、これまでのような出演契約のシステム自体、変革を余儀なくされていくことでしょう」

 コロナ禍で大きく業界が動いた現在だからこその今回の訴訟問題。解決の糸口は未だ見えていないが、両者の合意が何らかの形で結ばれる日を待ち望むばかりだ。

■公開情報
『ブラック・ウィドウ』
映画館&ディズニープラス プレミアアクセスにて公開中
※プレミアアクセスは追加支払いが必要
監督:ケイト・ショートランド
出演:スカーレット・ヨハンソン、フローレンス・ピュー、レイチェル・ワイズ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)Marvel Studios 2021

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