『東リベ』キサキの実写版&アニメ版を比較 間宮祥太朗と森久保祥太郎が果たした役割は?

『東リベ』キサキ、実写&アニメ比較

 興行収入が27億円を突破し、原作コミックスも3200万部を超えるなど勢いの止まらない『東京リベンジャーズ』(英勉監督)。「不良×タイムリープ」の本作で絶対的な悪として登場するのが“キサキ”稀咲鉄太(間宮祥太朗)である。

映画『東京リベンジャーズ』キャラクターPV(キサキ×キヨマサ×ハンマver)

 東京卍會(東卍)に殺された橘日向(今田美桜)を救うために、主人公のタケミチ(北村匠海)は過去にタイムリープする。タケミチに課されたミッションは、東京卍會の総長“マイキー”こと佐野万次郎(吉沢亮)と総長代理であるキサキの出会いを阻止すること。2人の出会いが、東卍を犯罪行為に手を出す半グレ集団に変えたからだ。

 キサキの正体は謎に包まれている。早い段階でマイキーに会えたタケミチも、キサキについては手がかりをつかめない。10年前の世界で、キサキは東卍と対抗する暴走族「愛美愛主(メビウス)」の幹部を務めており、表立って騒ぎを起こすことはない。劇場版ではキサキの冷酷非道な一面がことさらに強調されているが、それでも登場シーンは少ない。にもかかわらず、キサキの存在感は全編を貫いている。それは、キサキ自身がタケミチがミッションに失敗した場合のもう一つの未来であるためだ。

 劇中でマイキーが「不良の時代を創ってやる」と語る場面がある。『東京リベンジャーズ』は過去の不良に対する憧れからできており、仁義を貫き、拳でかたを付ける不良の特質はノスタルジーとともに肯定的に描かれる。後に明らかになるように、キサキの場合、この感情はある種の執着に姿を変え、どす黒い悪意の根源になっている。憧れと執着という似て非なる感情と、それがもたらす2つの未来。その起点と終点にキサキがいるのだ。

 特異点のようなキサキを演じるにあたって、間宮祥太朗とアニメ版の森久保祥太郎の“ショータロー”コンビは、それぞれの持ち味を生かしてキャラクターを肉付けしている。爬虫類的なねっとりとした質感はキサキの内面がにじみ出ているようで、短いカットで端的に人物の性格を伝えている。『#リモラブ 〜普通の恋は邪道〜』(日本テレビ系)や『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBS系)など、最近ではラブコメ作品でも活躍する間宮だが、もともとヒールは得意分野。映画『全員死刑』(小林勇貴監督)や『僕はどこから』(テレビ東京)では、鋭い眼光で全身からとがった空気を発していた。

 『ニーチェ先生』(日本テレビ系)や『べしゃり暮らし』(テレビ朝日系)で見せた役づくりのインパクトは『東京リベンジャーズ』でも健在だが、それが出オチで終わらないのは培ってきた演技力の賜物だろう。原作で続編にあたる「血のハロウィン」、「聖夜決戦」ではキサキがさらに暗躍し、また過去も明かされるということで劇場版での再登場にも期待したい。



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