『賢い医師生活』S2第6話は“賢医らしい”展開 5人の医師が“オヤジくさくならない”理由とは?

 新章を迎えた『賢い医師生活』第6話は、S1で築いたストーリーテリングのリズムを取り戻し、“賢医らしい”物語展開とメッセージを伝えている。シン・ウォンホ監督と脚本家のイ・ウジョンのコンビよるドラマの特徴であった、コミカルなシーンのサウンド・エフェクトや過去のフラッシュバック、バンド演奏につながる食事シーンも復活し、軽やかであたたかい観賞後感を残す。

 タイムスキップにより1年が経ち、医大生はインターンに、インターンはレジデントに、レジデントはチーフに、チーフはフェローへと職位が変わっている。彼らの成長を嬉しく思うのは、主演の5人以外のキャラクターにも細かな設定と役割があり、視聴者も一緒に足跡を見守ってきたからだろう。中心になる5人の立場は教授で中間管理職だが、病院内で「オヤジくさくないのは、先生の仲間だけです」と言われている。第6話は、彼らが“オヤジくさくならない”理由を説き、続く世代の門出を祝福し応援するエピソードになっている。

 同郷の患者に思い入れるインターンを「私も昔はそうだった。責めないであげて」とかばうソンファ(チョン・ミド)。新生児の疾患を先天性だと疑う義母に対し「誰かの過ちではなく、誰にでも起こりうること」と誤った思い込みをやんわり断ち切るジョンウォン(ユ・ヨンソク)。ジュンワン(チョン・ギョンホ)は、感情が昂り仕事が滞ったレジデントの謝罪を打ち消し、「泣くのは構わない。医者だって人間だ。ただし、やることはやれ。それを判断するのも医者の仕事だ」とアドバイスする。フェローになっても失敗ばかりと落ち込むギョウル(シン・ヒョンビン)に、完璧主義者のジョンウォンのインターン時代のミスを暴露し元気付けるイクジュン(チョ・ジョンソク)。

 小児外科医のジョンウォンは、妊婦の義理の母親に向かい、「遺伝要素はどちらにもあるし、子どもの病気も医師にとっては珍しいことではない」と告げる。これは、S1第6話で産婦人科医のソッキョン(キム・デミョン)が「流産は病気ではなく、妊婦の責任でもない。誰にでも起こり得ること」と言い切ったセリフとパラレルになっている。医師のはっきりとした物言いは、間違った思い込みを正し、病気や事故以上に傷つけられてきた患者の心を救う。医師は教師や牧師と同様に“師”であり、人々を正しく賢い道に導いていく職業だ。後進の指導にあたる教授としての彼らも、脈々と受け継がれてきた古い体質を断ち切るように、インターン、レジデント、フェローに接する。AIやコンピュータではなく、人間として賢い選択ができる医師になるために。

 『賢い医師生活』で描かれるエピソードがどれもありきたりでなく、かつ人間味にあふれているのは、企画段階から医療従事者への徹底的な取材を行っていたからだろう。取材を受けた医師たちはインタビューで「バンド活動以外は自分たちの日常とかなり近い」と言い、ドラマ製作チームが取材した医師たちの名前で肝臓移植を待つ子どもたちのために寄付をしたことを明かしている。第5話の心臓移植を受けた子どもの母親のエピソードは、完全なる創作ではなかったのだ。

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