まさかの候補入りにドン・チードルも「?」 第73回エミー賞ノミネーションを振り返る

 続く21ノミネートはシーズン1で作品賞を制したHuluの『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』。2019年には30年ぶりの続編小説も発表され、シーズン4で再び頂点を目指す。演技部門での合計8ノミネートは今年最多だ。

 Apple TV+からはサッカーコメディ『テッド・ラッソ 破天荒コーチがゆく』が20ノミネートを獲得した。個性派キャストのアンサンブルが魅力の本作からは6名が演技賞候補に挙がり、これはコメディ部門最多の人数である。

 世界的大ヒットを記録した人気作『クイーンズ・ギャンビット』と、先ごろシーズン1での打ち切りが発表されたホラー『ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路』は共に18ノミネート。そしてケイト・ウィンスレット主演のHBOドラマ『Mare of Easttown(原題)』が16と続き、TVドラマ界は既にストリーミングが百花繚乱である。例年注目されるスタジオ別最多ノミネート数では王者HBOが130候補となり、Netflixの129を僅差で抑えた。

『クイーンズ・ギャンビット』THE QUEEN’S GAMBIT Cr. PHIL BRAY/NETFLIX (c)2020

 またドラマシリーズ部門主演女優賞ではファイナルシーズンとなる『POSE/ポーズ』からMJ・ロドリゲスのノミネートが注目されている。トランスジェンダー女優として初めての候補であり、ついに歴史が動いた。授賞結果は現地時間9月19日に発表される。

ドラマ部門

作品賞

『THIS IS US 36歳、これから』(NBC)
『ザ・クラウン』(Netflix)
『ザ・ボーイズ』(Amazon Prime Video)
『マンダロリアン』(Disney+)
『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』(Hulu)
『ブリジャートン家』 (Netflix)
『ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路』(HBO)
『POSE/ポーズ』(FOX)

主演男優賞

ビリー・ポーター『POSE/ポーズ』
ジョナサン・メイジャーズ『ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路』
ジョシュ・オコナー『ザ・クラウン』
マシュー・リス『ペリー・メイスン』
レジ=ジーン・ペイジ『ブリジャートン家』
スターリング・K・ブラウン『THIS IS US 36歳、これから』

主演女優賞

エリザベス・モス『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』
エマ・コリン『ザ・クラウン』
ジャーニー・スモレット=ベル『ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路』
MJ・ロドリゲス『POSE/ポーズ』
オリヴィア・コールマン『ザ・クラウン』
ウゾ・アドゥバ『In Treatment(原題)』

助演男優賞

ブラッドリー・ウィットフォード『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』
クリス・サリヴァン『THIS IS US 36歳、これから』
ジャンカルロ・エスポジート『マンダロリアン』
ジョン・リスゴー『ペリー・メイスン』
マックス・ミンゲラ『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』
マイケル・ケネス・ウィリアムズ『ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路』
O・T・ファグベンル『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』
トビアス・メンジーズ『ザ・クラウン』

助演女優賞

アン・ダウド『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』
アーンジャニュー・エリス『ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路』
エメラルド・フェネル『ザ・クラウン』
ジリアン・アンダーソン『ザ・クラウン』
ヘレナ・ボナム=カーター『ザ・クラウン』
マデリーン・ブルーワー『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』
サミラ・ワイリー『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』
イヴォンヌ・ストラホフスキー『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』

コメディ部門

作品賞

『Hacks(原題)』(HBO Max)
『PEN15(原題)』(Hulu)
『フライト・アテンダント』(HBO Max)
『エミリー、パリへ行く』(Netflix)
『コブラ会』(Netflix)
『コミンスキー・メソッド』(Netflix)
『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』(Apple TV+)
『ブラッキッシュ』(ABC)

主演男優賞

アンソニー・アンダーソン『ブラッキッシュ』
ジェイソン・サダイキス『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』
キーナン・トンプソン『Kenan(原題)』
マイケル・ダグラス『コミンスキー・メソッド』
ウィリアム・H・メイシー『シェイムレス 俺たちに恥はない』

主演女優賞

エイディ・ブライアント『Shrill(原題)』
アリソン・ジャネイ『Mom(原題)』
ジーン・スマート『Hacks(原題)』
ケイリー・クオコ『フライト・アテンダント』
トレイシー・エリス・ロス『ブラッキッシュ』

助演男優賞

ボウエン・ヤン『サタデー・ナイト・ライブ』
ブレンダン・ハント『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』
ブレット・ゴールドスタイン『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』
カール・クレモンズ・ホプキンズ『Hacks(原題)』
ジェレミー・スウィフト『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』
キーナン・トンプソン『サタデー・ナイト・ライブ』
ニック・モハメッド『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』
ポール・ライザー『コミンスキー・メソッド』

助演女優賞

エイディ・ブライアント『サタデー・ナイト・ライブ』
セシリー・ストロング『サタデー・ナイト・ライブ』
ハンナ・エインビンデル『Hacks(原題)』
ハンナ・ワディンガム『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』
ジュノー・テンプル『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』
ケイト・マッキノン『サタデー・ナイト・ライブ』
ロージー・ペレス『フライト・アテンダント』

リミテッドシリーズ・アンソロジーシリーズ作品賞

『I May Destroy You(原題)』(HBO)
『Mare of Easttown(原題)』(HBO)
『ワンダヴィジョン』(Disney+)
『クイーンズ・ギャンビット』(Netflix)
『地下鉄道 ~自由への旅路~』(Amazon Prime Video)

■長内那由多(Nayuta Osanai)
映画・海外ドラマライター。東京の小劇場シーンで劇作家、演出家、俳優として活動する“インデペンデント演劇人”。主にアメリカ映画とTVシリーズを中心に見続けている。作品のエモーションを共有できるようなレビューを目指しています。Twitter映画・海外ドラマ レビューブログ

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