まさかの候補入りにドン・チードルも「?」 第73回エミー賞ノミネーションを振り返る
「どうしてノミネートされたのかわからない」
7月13日(現地時間)に発表された第73回プライムタイム・エミー賞ノミネートを受けてのドン・チードルのコメントだが、これは候補入りを喜ぶ謙遜ではない。彼がノミネートされたのは『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』での出演が対象となった“ゲスト俳優賞”部門でのこと。出演時間はわずか98秒。ご覧になった人ならおわかりと思うが特段、演技的見せ場もないカメオ出演だった。
大型アワードのセレクションに批判はつきものだが、今年のエミー賞ほど「?」と頭を抱えてしまうのも珍しい。『マンダロリアン』からペドロ・パスカルやロザリオ・ドーソンではなく、なぜジャンカルロ・エスポジートなのか? 『ザ・クラウン』最新シーズンでジョシュ・オコナーとエマ・コリン以外の王室メンバー役に見せ場はあったか? 『地下鉄道 ~自由への旅路~』の素晴らしいキャスト陣がなぜ誰もノミネートされていないのか? 『ハミルトン』の素晴らしさに異論はないが、舞台の映像をわざわざ今年のTV作品のベストに選び直す必要はあるのか?
だが年間300~400以上とも言われるTVシリーズを追うことはもはや批評家すら不可能であり、業界団体の投票であるエミー賞ともなればより知名度と人気がある作品、俳優に票が集中するのは当然のことだろう。ステイホームを強いられた2020年~2021年、誰もが知る大ヒット作の並んだノミネーションである。
最多24ノミネートを獲得したのは英国王室の内情を描いたNetflixの看板作品『ザ・クラウン』。演技部門だけで合計7名がノミネートされる快進撃で、シーズン4にして初の作品賞獲得を目指す。
同じく24候補となったのが『スター・ウォーズ』のスピンオフドラマ『マンダロリアン』。文句なしの傑作だったシーズン2によって“新興”ディズニープラスが一気に支持を集めた格好だ。マーベルの『ワンダヴィジョン』も23候補に挙がり、スタジオとしてのノミネート数は合計71に達している。