『東京リベンジャーズ』北村匠海は主人公をどう演じた? アニメ版“タケミチ”との共通点も

 この日を指折り数えて待った人も多かったのではないだろうか。7月9日に封切りされた劇場版『東京リベンジャーズ』は、期待を裏切らない完成度で前評判を軽々と超えてきた。吉沢亮のマイキーと山田裕貴のドラケンをもっと観たいと、早くも続編待望論も沸き起こっている。

 原作コミックスが累計2000万部を突破し、アニメに続いて実写映画も好調な滑り出しとなった『東京リベンジャーズ』。本作を特徴づけているのは圧倒的な熱量だ。「不良ムービー」に分類される本作だが、ヤンキーものの血がたぎるような熱とも異なる独特の熱さはどこから来るのか? その疑問に答えるのが主人公の“タケミチ”こと花垣武道(北村匠海)である。

 27歳のタケミチは自己肯定感の低い負け犬人生を送っている。喧嘩も弱く、ヒーロー感のかけらもないタケミチは、「なぜ、こんな奴が主人公なのか?」と思われても仕方がないキャラクター。しかし、実はそんなタケミチのキャラにこそ『東京リベンジャーズ』の核心がある。本作はリベンジドラマだ。リベンジは通常、痛い目に遭わせた相手にやり返すことを意味する。しかし本作のリベンジは様相を異にする。タケミチが挑むのは直接的には自分に屈辱を味わわせた人間だが、本当のところは過去の自分自身だ。

 ふがいない自分を変えたい。未来で後悔の日々を過ごしている分その思いは切実で、タケミチの拳には二度とないチャンスを逃さない決意が込められている。それと同時にタケミチを突き動かすのは他者の存在だ。卑屈で臆病なところもあるタケミチは、大切な人を守るために勇気を振り絞って強大な相手に向かっていく。

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