波瑠、同世代の共感を集める表現力 次なる篠原涼子的存在になるか?
2015年の朝ドラ『あさが来た』(NHK総合)以来ずっと主演ドラマの放送が続く波瑠は、真面目で不器用な役柄が同世代の共感を呼んできた俳優という印象がある。
一時、篠原涼子による「デキる女(上司)役」の出演が相次ぎ、同じく同世代女性の支持を集める存在だったことを思い出す。『anego』(日本テレビ系)では仕事をバリバリとこなす独身アラサーOLを、さらにそこから『ラスト・シンデレラ』(フジテレビ系)では年下男子と恋に落ちるアラフォー独身女性を好演。“大人女性の恋愛×お仕事ドラマ”で主役を飾ることも多く、「理想の上司だと思う女性有名人」ランキングで1位に選ばれたこともあり「ハンサムウーマン」という称号をほしいままにした。
いずれも“サバサバ”としており、忖度せず人に無駄に媚びたりはしないという共通点があるものの、篠原がかつて演じたバリキャリ女子が、世間体や男社会、雇用形態などの制度に対して反発していたのとは違い、波瑠は自分自身に対して嘘をつくことや自身の中にある違和感を見逃せない役どころが多い。篠原が演じるヒロインが完全無欠の“バリキャリ女性”や“デキる女性”のイメージが強かったのに対し、波瑠が演じる等身大の女性はもっと今を生きるのに“ままならなさ”を抱えており、そこにこそそこはかとない人間味が宿る。
波瑠は、“マイワールド”を持っている役柄がとにかくよく似合う。一見したところ、どこにでもいそうな一般的な女性だけれど、いつだってどこか居心地の悪さを抱えており、いまいち上手に立ち回れていない。つまり、あらゆる事象に“嘘をつけない”役どころがよく似合う。