波瑠が明かす、『弥生、三月』役作りの裏側 「見えていない部分を蓄えておく必要があった」

波瑠が明かす、『弥生、三月』の裏側

 映画『弥生、三月 -君を愛した30年-』が3月20日より公開中だ。『同期のサクラ』『家政婦のミタ』『過保護のカホコ』(全て日本テレビ系)などのドラマを手がけてきた遊川和彦が脚本・監督を務めた本作は、運命で結ばれた結城弥生と山田太郎の30年を3月だけで紡いだ激動のラブストーリー。

 弥生役で主演を務めた波瑠は当初、本作のオファーを受けるかどうか迷っていたという。そんな波瑠に、出演を決めた経緯や10代から50代までの役作り、弥生と太郎の関係性などについて、話を聞いた。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

「役を演じる上では、つねに“穴埋め作業”をやるようにしている」

ーー今回の『弥生、三月』の情報が発表された際に、「実はオファーを受けるかどうか迷っていました」とコメントされていましたが、なぜ迷っていたのでしょう?

波瑠:最初に台本を読ませていただき、ものすごく読み応えがある作品だったので、これはきちんとした下準備が必要だなと思いました。ただ、連続ドラマも同時にやっていたので、一度「難しいです」というお返事をさせていただいたのですが、遊川(和彦)さんご本人からやっぱりやってほしいというお手紙を頂いて……(笑)一度お会いしましょうということになり、そこでも「今回はお受けするか迷っています」とお伝えしましたが、遊川さんの作品に対するすごく純粋な情熱が伝わってきたので、結局「やります」と言ってお受けすることになりました。

ーー遊川さんの熱意に動かされた部分が大きかったと。

波瑠:遊川さんとは、今回の映画の前にも面識があったんです。当時の印象は、“変わった方”“怖い方”だったんですが、きちんとお話をしていく中で、その印象も大きく変わりました。作品のことを丁寧に説明されている姿を見て、「この人と一緒にお仕事をしてみたい」と強く思いました。

ーー弥生という一人の女性の30年を演じるのにも大きな労力が必要になりますよね。

波瑠:他の登場人物は出てくるものの、作品の軸が弥生と太郎の話なので、それに対しての不安やプレッシャーは最初に感じました。50代まで演じるなんて、私自身もまだまだだと思いました。

ーー成田さんは2歳年下なんですよね。実際やってみていかがでしたか?

波瑠:成田さんでよかったです。遊川さんが思い描く、「こんな人たちに幸せになってほしい」というのが、弥生と太郎だと思うんです。素敵なところとダメなところがそれぞれにある。簡単に言ってしまえば、ふたりとも凄くいい人なんです。太郎は、ひねくれたところもなく、友達思いでまっすぐで、人の幸せを願っている。少しバカで頼りない所もあるけれど、この人に話を聞いてもらいたくなる。そんな魅力が、成田さんにもあったんではないかなと思います。「なんだかほっとけない」ような関係性もうまく反映されているように感じました。

ーー遊川さんの演出はいかがでしたか?

波瑠:遊川組は、「はい、わかりました」っていう感じで進まないんです。「ああじゃない、こうじゃない」と試してみて、試行錯誤を重ねていくので、大変なんですよね。なので、撮影の間ずっと一人で考えごとをしてるみたいでした。

ーー役作りで何かやったことはありますか?

波瑠:映画やドラマは、台本には起こされていない登場人物たちの“日常の抜粋”が繋がって出来上がっているので、役を演じる上では、つねにその“穴埋め作業”をやるようにしています。1年をかいつまむだけでもその穴埋め作業はとても大変なんですが、今回は30年分。弥生が大学に行った日々、シロクマさん(小澤征悦)と関係が出来上がっていく過程など、描かれていない部分が膨大すぎて、こんな量をやったのは初めてでした。

ーーNHK連続テレビ小説『あさが来た』などでも一人の女性の幅広い年代を演じられていましたよね。

波瑠:朝ドラは、時代の移り変わりとともに、周りの人も一緒に変化していきますが、今回は、弥生と太郎のふたりの物語。もっと狭く掘り下げて、見えていない部分を自分の中に蓄えておく必要がありました。今までやったことがないアプローチでしたね。

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