『ドラゴン桜』が描く“変化”と“普遍性”  「7人全員合格」の結末になるか?

『ドラゴン桜』が描く“変化”と“普遍性”

 また、生徒が交代で教師役を務めその授業の様子を録画したものを後で見返すことで自身の思考を客観的に見つめ直すという方法や、生徒同士が互いに答案を採点することでより学びを深める“双方向的”で“対話型”の学習シーンが前作よりも多く盛り込まれていた。これは何も最新ツールがなくとも、志を共にする仲間がいればできることだ。

 桜木が一匹狼の藤井遼(鈴鹿央士)に対して言った東大専科への誘い文句はいつの世も変わらぬ普遍の真理だろう。「東大は集団で目指す方が合格率が高い」――周囲の期待を一身に背負ってのアウェーでの受験ではなく、切磋琢磨できる相手がいる環境の方が伸び伸びと成長できる、これは何も勉強に限った話ではなく、スポーツにせよ仕事、趣味の世界でも言えることではないだろうか。

 アフリカの有名なことわざに「早く行きたければ、ひとりで行け。遠くまで行きたければ、みんなで行け」というものがある。“東大合格”というもちろん一朝一夕にはいかない、最初は全く手の届かない無謀かに思える遥か彼方の目的地に向かうにはやはり“みんなで”立ち向かう必要がある。

 どんなにツールが発達して、場所も時間も選ばず自身のペースで学習したり仕事ができるようになっても、ここぞという時に自分の背中を押してくれるのは紛れもない“一緒に戦う仲間”の存在であることは、15年前も今も変わらず彼らが身をもって教えてくれている。

 最終話、彼らは“みんなで遠くまで行けるのか”。桜木が啖呵を切った通り、「7人全員合格」となるのか。最後まで彼ら全員の“東大受験”という団体戦での勇姿を見届けたい。

※高橋海人の「高」は「ハシゴダカ」が正式表記。
※鶴ヶ崎好昭の「崎」は「たつさき」が正式表記。

■佳香(かこ)
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好き。Twitter

■放送情報
日曜劇場『ドラゴン桜』
TBS系にて、毎週日曜21:00~放送
出演:阿部寛、長澤まさみ、高橋海人(King & Prince)、南沙良、平手友梨奈、加藤清史郎、鈴鹿央士、志田彩良、細田佳央太、西山潤、西垣匠、吉田美月喜、内村遥、山田キヌヲ、ケン(水玉れっぷう隊)、鶴ヶ崎好昭、駿河太郎、馬渕英里何、大幡しえり、深田竜生(少年忍者/ジャニーズJr.)、林遣都、佐野勇斗、早霧せいな、山崎銀之丞、木場勝己、江口のりこ、及川光博ほか
原作:三田紀房『ドラゴン桜2』(講談社刊)
プロデュース:飯田和孝、黎景怡
脚本:オークラ、李正美、山本奈奈
演出:福澤克雄ほか
製作著作:TBS
(c)TBS

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