ついにMCU入り! 俳優だけでなく脚本家の顔も持つオーウェン・ウィルソンの素顔

コメディ以外の魅力も満載のO・ウィルソン

『ロキ』のメビウス役という新しい挑戦

 『ロキ』は、ウィルソンにとって多くの挑戦を含んだ作品になっている。まず本作は、彼にとって初めてのテレビシリーズへのレギュラー出演作だ。また出演にあたって彼は、「自分自身とまったく違う役柄をやりたい、新しい挑戦をしたい」と申し出たのだそうだ。これを受けて、メビウスのキャラクターのイメージも変わったという。当初メビウスは、だらしない見た目の人物と想定されていたそうだが、ウィルソンの発言をきっかけに現在の短いシルバーヘアにスーツをきちんと着こなしたキャラクターになった。この髪型についてはウィルソン本人も気に入っているようで、「見た目がこの役を作ってくれているところがある」とも語っている。ちなみにコミックでのメビウスの髪型は、生え際の後退した黒髪のオールバックで、口ひげだけがドラマ『ロキ』での彼との見た目の共通点になっている。

 またウィルソンは、MCUについてはほどんどなにも知らず、今回の出演にあたってもコミックは読まなかったことを明かしている。これまでのマーベル実写ドラマと違って、『ロキ』にはベースとなっているコミックがない。そのこともあってか、彼はロキ役で製作総指揮を兼任するトム・ヒドルストンからこれまでのロキの動向について説明を受け、そのとき彼がなにを考えていたのかなどを質問したのだという。ウィルソンが言うには、MCUについてなにも知らないことが、かえってメビウスを演じるうえで役に立っているそうだ。TVAでの自分のポジションを受け入れているメビウスは、それについて深く考え込みすぎない。ウィルソンも自分がMCU作品に出演することについて、深く考えずリラックスして臨んでいるのだという。そうした面も、彼がメビウス役に抜擢された理由かもしれない。また『ロキ』の現場でも脚本家としての才能を発揮し、即興のセリフを加えているのだという。それもまた、彼の魅力となっているのだ。

 オーウェン・ウィルソンは、コメディ映画のイメージが強いが実はそれだけの俳優ではない。彼のフィルモグラフィーで面白いのは、年を追うごとにコメディからシリアスな作品に移行したというわけではなく、キャリアの初期から常にさまざまなジャンルの作品を行き来しているということだ。そして『ロキ』ではまた新境地に挑んでいる。俳優として飽くなき挑戦を続けるオーウェン・ウィルソンは、これからも進化していくだろう。まずは『ロキ』のメビウスが、今後どのように活躍していくのか注目したい。

■瀧川かおり
映画/海外ドラマライター。東京生まれ、グラムロック育ち。幼少期から海外アニメ、海外ドラマ、映画に親しみ、10代は演劇に捧げる。趣味は編み物ほか手芸。金曜の夜に酒を飲みながら映画や海外ドラマを観るのが毎週の楽しみ。

■配信情報
ディズニープラス オリジナルドラマシリーズ『ロキ』
ディズニープラスにて独占配信中
監督:ケイト・ヘロン
出演:トム・ヒドルストン、オーウェン・ウィルソン、ググ・バサ=ロー、ウンミ・モサク
(c)2021 Marvel
公式サイト:https://disneyplus.disney.co.jp/program/loki.html

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