『おかえりモネ』坂口健太郎からの美しい“知識”のプレゼント 学び考え続けることの大切さ

『おかえりモネ』菅波からの美しいプレゼント

 学校で一度は習ったような「なぜ水蒸気ができるのか」といった導入部分から、雲の仕組みを百音(清原果耶)とテレビの向こう側の私たちに説明してくれる、菅波(坂口健太郎)。こんな先生がいればテストで満点を取っていたかもしれない。

 『おかえりモネ』(NHK総合)第24話では、前回に引き続き菅波先生の授業が続く。教わることを、まだ基本がわからないまま、すぐに洗濯物に例えたり、木の乾燥期間に応用して考えたくなってしまう百音。そんな姿から、新たに得た知識を誰かの役に立つために使いたいという彼女の意思が見え隠れする。第24話では、この「知識」について考えさせられるものがあった。

 新商品の開発担当になった彼女は、広葉樹を使って学童机を作ろうとしていた。森林組合への還元、勉強中もそれが念頭にある百音に「一旦、木から離れてもらっていいですか」と言う菅波。そしていよいよ彼女が提案した学童机の試作品が完成する。

 このとき、第1話から登場していた森林組合の職員・木村慎一を演じるアベラヒデノブの存在感がいい。完成した机は椅子とセットで全て広葉樹で作られた、手作り感溢れる上品な質感が印象的だった。しかし、ベテランの伐採作業員・熊谷(山本亨)の指摘の通り、全てを広葉樹にしたことで学童机は重くなってしまう。学童机なのに重かったら、例えば掃除の時などに児童が机を持てないため、これはよくない。そこで、百音たちは更なる研究を重ね、机の足などを含めた全体の素材を見直し、テーブルの部分だけに広葉樹を使うことにした。

 満を持して教育委員会にそれを持ち込むと、机は高く評価され発注を受けることに。しかし、市内の小学校に行き渡るよう4200もの個数を半年で納品する必要があったのだった。全て手作業で作るため、森林組合で作れるのは1月あたり30個が限界。そこに参入してきたのが、東京の大手家具メーカーだ。地元の木は使っていないが、納期は間に合わせられる。それにサヤカ(夏木マリ)でさえ、「さすがだね」と言ってしまう。

 物作り、特にオールハンドメイドは丁寧な仕上がりの背景に地元の産業や伝統を守る大切な文脈がある。大手がコスパよく作ったものの方が安価なものになって、余計人々が手に取りやすいことになってしまうが、そういった現状を川久保博史(でんでん)は「早いものばかり作るようになったらから今のような有様になった」と嘆く。それに対して、誰よりも怒りそうなサヤカが逆に「安くて早くて何が悪い」と返すのが印象的だ。

 たしかに、どちらが正しいというわけではないし、職人が生き残っていくうえでひとつ受け入れた方がいい価値観だ。むしろサヤカのような立場の人間がこれに対してオープンマインドであることが、全員にとって重要なのかもしれない。とはいえ安価になるが故に誰も大事にしなくなったり、木を伐採するだけして余らせて放置させるということも問題だ。鉄やコンクリートに負けてきた、木。その木は、ただの木製というだけの木ではなく、それを作るうえで多くの人の職がかかっているものでもあるのだ。

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