高野麻里佳「引き出しの多さを試されている」 Netflix『エデン』の収録を振り返る

プレスコでの収録は「試されている」

ーー今作はプレスコで制作されたと伺っていますが、映像の情報がない状態でキャラクターを作り上げていく作業にハードルは感じましたか?

高野:やはり私1人だけが人間ということもあって、私はロボットとの距離感を測りながら喋ろうとしたのですが、ロボット役のみなさんは一定のスピード感でに喋らなければいけないため、距離感が測りづらかったことがあります。個人的には、ドラマCDのようにお互いのセリフで察し合いながら空気感を作っていきたかったのですが、キャラクターの持ち味として、擦り合わせがすごく難しかったなと。あと表情に関して、どういう映像になるのか想像するしかなかったので、サラの赤ちゃんのシーンなども自分の中でコロコロ表情が変わっていく赤ちゃんを想像しながらいろんなサンプルを録りました。土いじりをしているサンプルや、笑っているシーンを何パターンか録ったり……そういうのも「どこで使われるんだろう」と思いながらひたすらアウトプットをする作業でしたね。

ーー完成映像が想像できない状態だと、手応えを感じるのも難しそうです。

高野:そうなんです。正直、手応えみたいなものがわからないんですよね。自分の培ってきた演技や、用意してきたものを全部出し尽くす状態が常に続くような収録でした。逆に入江監督は優しいので、私の演技に対するダメ出しや、こうしてほしいといった指示が一切なかったんです。なので、信じていただいている分、引き出しの多さを試されていることがプレッシャーになりました。

ーー実際に映像が完成していくにつれ、そういった手応えを実感できるようになっていきましたか?

高野:収録の間に動いている映像を観ることはなかったのですが、2話、3話と回を重ねていくうちに絵コンテが入るようになったので、第1話が1番プレスコらしいプレスコでしたね。2話、3話は少しサラの形が見えるようになってきましたが、白黒の線画だったこともあり、実際に完成した映像を観るとまた違う印象を受けます。収録当時は、自分のインスピレーションを頼りに探っていく作業でした。

ーー実際に完成した1話を観たとき、収録時とは全然違う印象を受けたシーンなどはありましたか?

高野:ありました! 赤ちゃんのときにたくさんサンプルを録ったのですが、サラが土いじりをしながら遊んでる裏で、すごく大事なことをお父さんとお母さんが喋っているんです。収録のときは、土いじりをしているボイスは聞こえるか聞こえないかくらいかの音量で使われると思っていたんですけど、がっつり前に出てきていて。アニメーションというよりは、すごく等身大のリアルな作品になったなと、第1話を観ても感じました。

ーーもし本作に続編があるとしたら、高野さんはサラのどんな物語をご覧になりたいですか?

高野:サラの作っていく家族にはすごく興味があります。お父さん、お母さんロボットに育てられたサラが、今後どのように大人になっていって、どんな家族を作っていくのか。そこにすごく興味があります。

■配信情報
Netflixオリジナルアニメシリーズ『エデン』
Netflixにて配信中
監督:入江泰浩
キャラクターデザイン:川元利浩
脚本:うえのきみこ
コンセプトデザイン:クリストフ・フェレラ
アートディレクター:クローバー・シェ
音楽:ケビン・ペンキン
プロデューサー:ジャスティン・リーチ
アニメーション制作:CGCG
キャスト:高野麻里佳、伊藤健太郎、氷上恭子、山寺宏一
Netflix作品ページ:http://www.netflix.com/eden

関連記事