『おかえりモネ』あまりにも悲しい百音の「そこにいなかった」真相 音楽をやめた理由とは

『おかえりモネ』百音が音楽をやめた理由

 久々に実家で幼なじみと共に寝る百音(清原果耶)。男子も寝静まった夜、明日美(恒松祐里)が彼女にりょーちんこと亮(永瀬廉)への高まる思いを話すところから始まる、『おかえりモネ』(NHK総合)第14話。

 「久々に会ったら、なにあれ色気ダダ漏れだよ!?」と、興奮気味な明日美。そういうの、わかる。何年かぶりに再会した“男の子”が“男性”になっていることほど、ズルいものはないのだ。何が彼を男性にさせたのか、幼なじみというずっと昔から知っていたはずの相手に“知らない部分”が生まれることで、恋心が再燃し気になってしまうものだ。なにより、亮というキャラクターが、イケメンではあるが所謂「チャラ男」でもない真面目な性格で、彼が“男性”になった背景も、漁師になったことが関係しているのが自明な点がより好感度が高い。

 明日美はふと、気になったのか百音に「なんで音楽をやめたの?」と聞く。しかし彼女は、虚な表情で寝たふりをしたまま明日美の質問には答えず、17年前のことに思いを馳せていた。

 17年前。幼かった自分がとったリズムで妹の未知(蒔田彩珠)が泣き止んだこと。父・耕治(内野聖陽)の吹いていたトランペットに興味を示し、管楽器に魅せられてサックスを始める。遅い時間まで練習することもあり、それに付き合う父親。その日々や一緒に過ごす時間は、まさに父娘の絆を象徴するものだった。

 中学になると、百音しかいない吹奏楽部に、幼なじみたちが入ってくれる。部員が一人だったことが意味するのは、廃部寸前で顧問の先生の存在も怪しいということだ。コンクールに出ても、指導者がいない素人集団の寄せ集めでしかなく、結果は散々。しかし、そこで登場したのが百音の父だった。彼の指導が入ったことで実力をつけた彼らの周りに人が集まり、吹奏楽部は“吹奏楽部”になった。そんな風にどんどん音楽の実力をつけて、将来も音楽コースのある高校に受験する流れになっていた。

 そして合格発表日、耕治と一緒に仙台へ見に行く百音。その日にちが目に入った瞬間、全てが繋がり始める。発表者一覧に、彼女の名前はなかった。「午後から学校で練習が入っているから」「幼なじみにも約束しているから」と、俯きながら帰ろうとする百音。しかし、彼女の落胆ぶりを見かねた耕治は「今日ぐらい遅れてもいいだろう」と、自分が学生時代に通い詰めていたジャズバーに彼女を連れ出す。耕治はおそらく、結果はダメだったけれど娘に音楽を嫌いになってほしくなかった、諦めてほしくもなかったのだろう。なぜなら、音楽に触れている時の百音は心底幸せそうだったから。

 2時半からステージでプロの演奏が始まるのを知ると、興味を持ったものの、百音はやはり思いを断ち切るかのように「帰ろう、練習あるし」と言う。しかし、突然始まった演奏から目が離せない。女性のサックスプレイヤーの演奏に魅せられ、店内を出ることができずに彼女は結局、父に「観てってもいい?」と聞いてその場に留まることにした。

 一方、学校では連絡のない百音を心配する幼なじみたち。妹の未知もその場にいて、合格結果を皆に共有していた。彼女に同情していたみんなだが、それにしても練習に来ない彼女に疑問を抱く。その頃、音楽への愛を再び実感し再び笑顔を取り戻した百音。時刻は、2時46分をまわった。全てのピースが、出揃った。

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