清原果耶が表現する世界と出会った瞬間の感動 『おかえりモネ』ヒバの木に込められた願い

清原果耶が表現する世界と出会った瞬間の感動 『おかえりモネ』ヒバの木に込められた願い

 サヤカ(夏木マリ)に連れられて山に入った百音(清原果耶)は、樹齢300年のヒバの木と出会う。『おかえりモネ』(NHK総合)第2話で、私たちは百音の心にあるわだかまりと願望を目にする。

 「とにかく私はこの島を離れたい」。百音の発した一言に押し黙る両親と祖父、妹。第1話で一家団らんの場を包んだ重苦しい空気の正体は徐々に明かされる。楽しかった吹奏楽部の思い出。水産高校に通う妹・未知(蒔田彩珠)。医師の菅波(坂口健太郎)と交わした会話。ヒバの木に込められた願い。複数のエピソードを通して百音の抱える葛藤が浮き彫りになった。

 2014年5月。18歳の百音は過去と未来、希望と不安の間で揺れている。山道を行った先で見上げたヒバの木。別名アスナロとも言われる樹木は、サヤカによれば「ヒノキに憧れて明日はヒノキになろうって思いながら大きくなった」。しかし寒冷な地方で育つヒバはヒノキになれないことを宿命づけられている。ヒノキの北限は福島で「この山で生まれた限り、どう頑張ってもヒノキにはなれない」とサヤカは言う。

 あらかじめ決められた限界とどう向き合うかは、誰もが直面する課題かもしれない。ヒノキになれないヒバは「雨、風、雪に耐えながら、長い時間かけてゆっくり成長する」。そうすることで「体がギチっとして緻密で狂いが少なくて、虫にも湿気にも強い」独自の長所を育んできた。「モジモジしてるけどね、この子はものすごく良い木なのよ」。木に向かって話すサヤカは、まるで百音に語りかけているように見えた。

 百音はヒバを切り倒して能舞台の補修に使う相談に耳をそばだてる。寿命で弱ってしまう前に人間のために役立てることが木にとっても良いことと川久保(でんでん)は主張。祖父の龍己(藤竜也)の「何も関係ねえように見えるもんが何かの役に立つっていうことは、世の中にいっぺえあるんだよ」という言葉が脳裏によみがえる。誰かの役に立ちたいという思いが百音の中にはあって、けれどもそれはまだはっきりとした形を取っていなかった。

 七色のパレットのような感情がヒロインの心のひだを染めていく。何かに驚いた時の清原のリアクションが印象的だ。世界と出会った瞬間の喜びを全身で表現する様子は、無から有への跳躍を思わせる。画面から伝わるみずみずしい感性を新鮮な感動とともに受け止めていきたい。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログTwitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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