『おちょやん』千代を支えた女優たちを振り返る 篠原涼子、宮澤エマらが生んだ感動
ついに最終週を迎えた、NHK連続テレビ小説『おちょやん』。日本全国のお茶の間に笑いと感動を与えてきた本作では、杉咲花演じる主人公の竹井千代をはじめ、強く、そして優しい女性たちが数多く登場してきた。そんな『おちょやん』の愛すべき女性キャタクターを振り返ってみたい。
岡田シズ(篠原涼子)
千代が奉公に出された、芝居茶屋「岡安」の二代目女将・岡田シズ(篠原涼子)。常に凛として仕事に対しストイックかつ一度家族と認めたからには、千代を借金取りからも毅然と守る姿が実に勇ましく、何があろうとこの場所を守るという覚悟が、まさに一家の大黒柱を体現していた。
親に捨てられた同然の千代にとって、育ての母親であり、唯一帰れる実家ができたというのは大きな心の支えとなった。シズを演じる篠原涼子は、『ハケンの品格』(日本テレビ系)や『アンフェア』(フジテレビ系)など、相手が誰であろうとズバッと言う芯が通った姉御肌を演じることが多いが、そのキャラが暖簾と家族を守る女将という形に見事にハマっていた。また千代が女優として活躍し始めると、涼しい顔をして一番熱く応援している姿を見せるなど、本当の親のように千代を見守る姿が微笑ましく、感動を誘った。最終週でも、道頓堀に戻ってきた千代に対し、最初は不義理を叱るも大粒の涙を流した姿が実にシズらしかった。篠原が演じてきた強さの向こう側の優しさの演技が見れた瞬間だったのではないだろうか。
富川みつえ(東野絢香)
シズの娘、みつえ(東野絢香)も千代の生涯を支えた1人。当初は家のお嬢様と奉仕人という主従関係だが、借金取りから逃げる千代を体を張って守ろうとするなど、一緒に暮らしていく上で姉妹や親友のような関係になっていく。みつえの恋愛や、夫が戦死した後のフォロー、千代の離婚など、何でも相談しあえる良き理解者として千代をサポートした。最終週では、笑顔で「お帰り」と声をかけ、みつえに抱きついた千代が「ただいま」と声を震わせ涙を見せるシーンは2人の関係を物語る。東野絢香は、女優としてのキャリアはまだ3年ほどでこれまで知らない人も多かったように思うが、大阪府出身のネイティブな関西弁で大きなインパクトを残し、千代との身長差凸凹コンビがいい味を出していた。