清原果耶、同世代随一の実力を遺憾なく発揮 成田凌との共演で見せたコメディの才

 映画『まともじゃないのは君も一緒』は、清原果耶の映画2作目の主演作、成田凌とのW主演作になる。今、浜辺美波、森七菜、山田杏奈といった2000年代初頭生まれの女優たちが黄金世代を形成しているが、その中でも10代半ばから「間違いなく将来、国民的女優になる」と多くの関係者に目されているのが清原果耶だ。

 清原果耶の演技はまったく死角がない。10代の俳優は多かれ少なかれ、「演技はまだ未熟だけど、本人の資質ならこの役がハマるだろう」と大人が用意してあげる、得意なコースにボールを投げて演じさせるものなのだが、清原果耶は振り子打法のように自分から役に体を寄せてどんなコースでも打ててしまう。『3月のライオン』の、いじめを受ける純粋なヒロイン、川本ひなた。『BORDER』(テレビ朝日系)で波瑠と対決するサイコキラーの少女・小椋明音。Netflix人口がまだ今ほどでなかった2018年に、富田望生と魂を入れ替える演技で映画ファンを驚かせた『宇宙を駆けるよだか』。若くして圧倒的な実力を見せ、NHKにも朝ドラに何度も起用されるほど重用され、日本最大の所属事務所のバックアップも万全なのだから、将来の女王と多くの関係者が見るのも当然だろう。

 映画『まともじゃないのは君も一緒』で清原果耶が新たに証明したのは、コメディの才能だ。若手演技派の成田凌が演じる対人関係にナイーブな数学教師に対して、清原果耶が演じるのは少しひねた女子高生。映画の7割が2人だけの会話で埋め尽くされる、いわば「演技力どつき漫才」であり、芝居が下手な役者が演じたらとても見られたものではない構成なのだが、演技力モンスター・成田凌との一対一のどつき合いで見せる清原果耶のセンスとリズム感が素晴らしいのである。

 もともと清原果耶の鼻筋の通った端正な顔立ちは、『望み』や『デイアンドナイト』のようなシリアスで重厚な映画でスクリーンに映えてきた。だが、コメディ映画になると、その真面目な優等生顔からストーンと落とす落差が観客を笑わせる。ストレートの球速が速いほどフォークの落ちる落差が生きるように、シリアスとコメディは表裏一体の関係にあるのだ。

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