北村匠海と井浦新が粉まみれ!? 『にじいろカルテ』一風変わった第7話に潜むメッセージ
第3話でも描かれた、定期的に記憶がリセットされてしまう雪乃(安達祐実)と、彼女を支える夫・晴信(眞島秀和)が再びフィーチャーされることとなった『にじいろカルテ』(テレビ朝日系)第7話。おそらくこれは、物語が佳境に差し掛かる前にワンクッションを置くエピソードという位置づけなのだろうか。医療ドラマという側面をほぼほぼ封じ、舞台となる虹ノ村に伝わる婚礼の習俗を描写することで、第1話から薄々感じさせていた“村人の強烈さ”をより際立たせる不思議なエピソードであった。
定期検診で雪乃が自分の年齢を答えられなくなる日がついに訪れてしまい、晴信が常に付けつづけてきたノートによると、症状が出てから記憶がなくなるまでは10日。不安そうな雪乃を見た真空(高畑充希)は、彼女を村人たちの往診に連れて行くことにする。そこで佐和子(水野久美)の家を訪れ、彼女の古い婚礼写真を見つけた雪乃。しかし雪乃には自分の結婚式の記憶はなく、その心中を察した真空は村の伝統的な方法で、雪乃と晴信の結婚式を行なうことを提案するのである。
“じじーず”の博(モト冬樹)の家系が代々管理してきたという“虹ノ風穴”での婚礼の儀式。こうした村に代々伝わる少し風変わりな儀式と聞くと、どうしても昨年日本でも話題を集めたアリ・アスターの『ミッドサマー』のような奇祭が頭をよぎってしまうわけだが、虹ノ村のそれも負けず劣らずのインパクトだ。新郎の晴信は式の日まで神様に仕えるために幽閉され、未婚の真空が馬役となって新婦・雪乃の世話をし、彼女をリヤカーに載せて歩く。さらに太陽(北村匠海)や朔(井浦新)ら村の男たちは(テレビ朝日の人気番組がたくさん観られる動画配信プラットフォームを連想させる)雄叫びをあげながら粉まみれになるときたもんだ。
何はともあれ、ただただ奇抜なエピソードを見させられたわけでもなく、そこにはいつもと変わらない『にじいろカルテ』らしいメッセージがきちんとのぞいている。例えば村の伝統的な婚礼の儀に向けて村中の老人たちが健康を気遣って率先して診療所に足を運び、それを楽しみにすることで元気になっていったり、記憶を失うことを不安がる雪乃に真空がかける前向きな言葉であったり。そしてなにより、雪乃と晴信の愛の深さを強く感じさせるやり取りの数々は心に沁みるものがある。