2021年はこの映画に期待? 今年スクリーンで観られそうなハリウッド大作映画の共通点

 ハリウッドは昨年からパンデミックの影響を受け、映画の製作を中断せざるを得なくなったり、再開後も厳しいレギュレーションに乗っ取った上で遅れを取り戻したり、とにかく業界全体が厳しい状態に。日本でも2020年に公開予定だった大作が複数本延期に延期を重ね、「そういえばあの映画って、いつやるの?」という感じ。そこで改めて、1月15日時点で決定している公開日を踏まえて、今年リリース予定の期待できそうなハリウッド大作をおさらいしておきたい。

3月は大人から子供まで楽しめる作品が続々公開?

『ラーヤと龍の王国』(c)2020 Disney. All Rights Reserved.

 直近では3月からハリウッド大作が続々と公開される。まずは5日公開予定の『ラーヤと龍の王国』。『アナと雪の女王2』に続くウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ制作の本作は、オリジナル作品として古代のアジアを舞台に、人間とドラゴンが共存する世界を描く。孤独な戦士ラーヤが怪物に立ち向かう、『モアナと伝説の海』同様、プリンセスではない主人公の物語が注目ポイントだ。

 そして19日には1940年からの長い歴史を持つ、愛されアニメ『トムとジェリー』初の実写版映画が公開となる。本作は、ニューヨークを舞台に、高級ホテルのイベントプランナーに扮するクロエ・グレース・モレッツが、トムとジェリーとともに世界一豪華なウェディングを成功させようと奮闘する。3Dアニメーションで描かれるトムとジェリーが、実写映像の世界にうまく溶け込みながら普段通りやりあう姿は観ているだけで楽しい。

『キングスマン:ファースト・エージェント』(c)2020 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 大人向けのアクション大作も続々登場。12日には待望のシリーズ最新作『キングスマン:ファースト・エージェント』が公開される。これまでの2作はタロン・エジャトン演じるエグジーを主人公におき、彼が世界最強のスパイ組織「キングスマン」の中で立派な男になるための成長物語だった。『ファースト・エージェント』は、その「キングスマン」の誕生話となっており、イギリスの名優レイフ・ファインズが主演を務める。監督はシリーズを担当するマシュー・ヴォーンなので、彼の毒っ気万歳のド派手なアクションが本作でも楽しめそうだ。そして26日には映画『モンスターハンター』が公開。ミラ・ジョヴォヴィッチと監督ポール・W・S・アンダーソンの『バイオハザード』夫婦が、再び世界的人気ゲームの実写化作品に挑戦する。この2作は間違いなく、劇場の大きなスクリーンで堪能したいアクション映画だ。

『ミナリ』Photo by Melissa Lukenbaugh, Courtesy of A24

 そして、派手な大型作品だけではなくアカデミー賞有力候補作が公開される点でも3月は映画好きにとって魅力的な月だ。19日にはA24スタジオが送る『ミナリ』が、26日にはサーチライト・ピクチャーズの『ノマドランド』が公開される。『ミナリ』は80年代のアメリカ南部を舞台に、韓国からの移民一家がアメリカンドリームを叶えようと奮闘する物語。主演を務めるのは、ドラマ『ウォーキング・デッド』でお馴染みのスティーヴン・ユァン、そして彼の妻を演じるのはハン・イェリ、祖母を『ハウスメイド』のヨン・ユジョンが演じる。監督・脚本を韓国系アメリカ人のリー・アイザック・チョンが務めるということで、『クレイジー・リッチ!』に続く、全主要キャストがアジア人の作品になりそう。当事者の目線で語られる、アメリカに住む韓国人の生活の描かれ方にも注目したい

『ノマドランド』(c) 2020 20th Century Studios All Rights Reserved

 一方、フランシス・マクドーマンド主演の『ノマドランド』は、アメリカの西部を舞台に、特定の場所での生活を捨て、ノマドとして路上に繰り出す女性の物語を描いた作品。どちらもアカデミー賞最有力候補として名高く、家を手に入れる者と手放す者という正反対の人間を描きながらも“住処”をテーマにした作品であるのが興味深い。

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