『呪術廻戦』アニメ化で人気爆発!? 原作の魅力を大きく膨らませた、“死”をめぐる問いかけの強調

『呪術廻戦』アニメ化で原作の魅力を増幅

 アニメ化された『呪術廻戦』が好調だ。『週刊少年ジャンプ』で好評連載中の『呪術廻戦』は、芥見下々によるオカルトバトル漫画。

 呪霊を祓う呪術師たちの活躍を描いた本作は、「呪いの王」と呼ばれる特級呪物・両面宿儺を身体に宿した少年・虎杖悠仁が都立呪術高専に入学し、師匠にあたる五条悟の指導の元で呪術師として成長し、伏黒恵、釘崎野薔薇たち高専の呪術師たちと共に呪霊と戦う姿が描かれている。

 すでに『ジャンプ』では人気作品だったが、アニメ化によってファン層を一気に広げ、単行本の累計発行部数は1500万部を突破。書店では売り切れ続出となっている。『呪術廻戦』は、複雑なバトル漫画を好む『ジャンプ』読者からは熱狂的な支持を得ていたが、呪術師と呪霊をめぐる世界観や、呪術の描写が細密過ぎてわかりにくいため、食わず嫌いの読者も多かった。

 「死」というテーマも、少年漫画の題材としては重たいもので、果たして万人向けに開かれた作品かと言うと、答えに詰まる。ただ、アニメ化されることを知った時は「これで、人気が爆発するだろうな」という確信があった。

 理由はもちろん、2019年に『鬼滅の刃』がアニメ化されたことで人気が急上昇したという先行例があったからだ。一見、とっつきにくく見えた原作漫画が、制作能力のあるアニメスタジオが映像化することでポピュラリティを獲得するという現象が『呪術廻戦』でも起こるのではないかと、期待していた。

 アニメ版『呪術廻戦』を制作するのは、『ユーリ!!! on ICE』、『どろろ』、『さらざんまい』等の傑作アニメを手掛けたMAPPA。2016年にヒットしたアニメ映画『この世界の片隅に』を制作するために作られたアニメスタジオで、映像のクオリティは折り紙付きだ。

 今回も、呪霊の不気味な描写や虎杖たち呪術師のド派手なアクションが実に見事で、アニメの基本である動きに関しては完璧な仕上がりだと感じている。何より感心するのは、アニメスタッフが原作漫画の肝を理解した上でアニメ化の際に物語の構成をうまく組み替えていることだ(以下、ネタバレ含む)。

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