人魚姫のモデルとなった神話をクリスティアン・ペッツォルトが現代化 『水を抱く女』2021年公開へ

『水を抱く女』日本公開決定

 ドイツの映画監督クリスティアン・ペッツォルトの最新作『水を抱く女』が2021年3月26日より全国公開されることが決定した。

 本作は、“愛する男に裏切られたとき、その男を殺して水に戻る”という宿命を背負った美しき水の精・ウンディーネ(オンディーヌ)の神話がモチーフとなっている。この魅惑的な神話は、古くから多くのアーティストたちにインスピレーションを与えてきた。アンデルセンは童話『人魚姫』を書き上げ、チャイコフスキーはオペラ、ドビュッシーは楽曲を創作した。またゲーテが“ドイツの真珠”と絶賛したロマン派のフリードリヒ・フーケが発表した傑作小説『ウンディーネ』は、現代でも読み継がれている。近年、再評価されている三島由紀夫の『仮面の告白』にも登場している。

 そんな題材を、ベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)を受賞した『東ベルリンから来た女』をはじめ、『あの日のように抱きしめて』『未来を乗り換えた男』などで知られ、ドイツの激動の歴史を描き続けてきたペッツォルト監督が、この題材を現代に置き換えて映画化。

 ベルリンの都市開発を研究する歴史家ウンディーネ。彼女はアレクサンダー広場に隣接する小さなアパートで暮らし、博物館でガイドとして働いている。恋人のヨハネスが別の女性に心移りし、悲嘆にくれていたウンディーネの前に、愛情深い潜水作業員のクリストフが現れる。数奇な運命に導かれるように、激しく惹かれ合うふたり。幸せで無垢な新しい愛を大切に育むも、彼女が必死に何かから逃れようとしているような違和感をクリストフが感じとった時、ウンディーネは再び自分の宿命と直面することになる。

 神秘的なウンディーネを演じたのは、フランソワ・オゾン監督『婚約者の友人』や、フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督『ある画家の数奇な運命』など作品に出演しているパウラ・ベーア。本作でベルリン国際映画祭とヨーロッパ映画賞にて女優賞受賞という快挙を成し遂げた。心しい潜水作業員のクリストフを演じたのは、ダンサーや振付師としても活躍する『希望の灯り』のフランツ・ロゴフスキ。この主演のふたりは、ペッツォルト監督の前作『未来を乗り換えた男』にも出演している。

■公開情報
『水を抱く女』
2021年3月26日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
監督・脚本:クリスティアン・ペッツォルト
出演:パウラ・ベーア、フランツ・ロゴフスキ、マリアム・ザリー、ヤコブ・マッチェンツ 
配給:彩プロ
(c) SCHRAMM FILM / LES FILMS DU LOSANGE / ZDF / ARTE / ARTE France Cinema 2020

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