『エール』窪田正孝×二階堂ふみ演じる夫妻は歴代朝ドラの中でも異質? 3組の夫婦の関係を考える

『エール』窪田正孝×二階堂ふみ演じる夫妻は歴代朝ドラの中でも異質? 3組の夫婦の関係を考える

ともに歩きエールを送り合う裕一と音

 そして最後に取り上げたいのがこの物語の主人公・古山裕一(窪田正孝)と音(二階堂ふみ)夫妻。このふたり、歴代の“朝ドラ夫婦”から見てもかなり異質ではないだろうか。

 たとえば描かれる時代が『エール』と重なる『まんぷく』に登場したのは100%夫唱婦随型の夫婦。ヒロイン・福子(安藤サクラ)はつねに夫・萬平(長谷川博己)の三歩後ろを歩き、彼の発明を成功させる完全サポーターとして存在していた。が、音は引かない。裕一の音楽の才能を誰よりも認めながら、彼が間違っていると感じた時はストレートに意見をぶつける。あの時代としてはかなり珍しいキャラクターである(彼女は裕一に対して敬語もほぼ使わない)。

 そんな音がこれまで1番引いた……と言ったら語弊があるが、自らの想いを別の方向に変えたのが華を妊娠した時だ。音楽学校に通いながらオペラのオーディションに合格していた音は、出産と育児のために歌の世界から遠ざかり、これまで主婦として家庭を支えてきた。

 さて、ここで思い出してほしいのが、冒頭の「戦争が終わったら、もう一度、夢のつづきを始めましょう」という一節。これは第85話でビルマに慰問に発つ裕一が音に残した手紙の一節である。

 戦時中、戦意高揚の音楽を世に多く送り出した裕一は戦後もそのことに苦しみ、しばらく作曲から遠ざかっていた。そんな彼を音は支え、裕一は池田(北村有起哉)や永田医師(吉岡秀隆)との出会いで頑張る人々に音楽を通じ「エール」を送ることに希望を見出していく。

 第18週から第20週まではおもに裕一のターンだったが、第21週「夢のつづきに」では音がふたたび子どもの頃からの夢に向かう姿が描かれる。裕一のあの手紙の言葉「戦争が終わったら、もう一度、夢のつづきを始めましょう」がふたりのものとしてようやく動き出すのだ。

 先に歩く夫を後ろから支え続ける妻という関係でなく、これまでともに並んで歩いてきた裕一と音の「夢のつづき」がどんな展開になるのか残り時間を噛みしめながら見守りたい。

■上村由紀子
ドラマコラムニスト×演劇ライター。芸術系の大学を卒業後、FMラジオDJ、リポーター、TVナレーター等を経てライターに。TBS『マツコの知らない世界』(劇場の世界案内人)、『アカデミーナイトG』、テレビ東京『よじごじDays』、TBSラジオ『サキドリ!感激シアター』(舞台コメンテーター)等、メディア出演も多数。雑誌、Web媒体で俳優、クリエイターへのインタビュー取材を担当しながら、文春オンライン、産経デジタル等でエンタメ考察のコラムを連載中。ハワイ、沖縄、博多大吉が好き。Twitter:@makigami_p

■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)~11月28日(土)予定(全120回)
※9月14日(月)より放送再開
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/

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