シネワールド、米英での映画館休業を発表 コロナ禍がもたらす悪影響は広がる一方に
休業に際した発表されたシネワールドの声明においても、最新作上映の遅延からの影響が読み取れる。
「主にニューヨークを中心とした米国の主要市場が閉鎖されたままで、再開時期の見通しもなく、制作スタジオは新作映画の公開を躊躇しています。これらの新作がなければ、弊社では主要市場である米国と英国のお客様に、コロナ禍でも映画館に戻ってきたいと思わせるような、魅力的な新作映画を幅広く提供することができません」
深刻さを増し続ける、コロナ禍の映画館事業への影響。背後には、大きな収入が見込めない制作スタジオと上映する新作がなくなってしまう映画館事業という2者の対立構造が見え隠れする。経済的観点から見れば、一概に制作スタジオを非難することが難しいのは明白だ。だが、長期的に考えるともはや映画館がなくなってしまうということは決して非現実的な話ではない。その取り組み方こそ違えど、同じ「映画」業界において必要不可欠な両者。制作スタジオによる映画館事業への歩み寄り、また映画館事業での新作公開以外での収益獲得の模索が重要になってくるだろう。
■綾瀬くろ
92年生まれの海外在住経験ありのライター。カルチャーとテクノロジーが好きです。