『24 JAPAN』は2020年の並行世界? 単なるリメイクで終わらないポテンシャル

 予想以上だった。正確に言えば、単なるリメイクで終わらないポテンシャルを感じさせる内容だった。『24 JAPAN』(テレビ朝日系)第1話は、総選挙当日の23時18分から始まる。通話相手から「彼女は亡くなった」と聞かされ、崩れ落ちる獅堂現馬(唐沢寿明)。その直後、獅堂の二丁拳銃が火を噴く。

 開局60周年を記念して、テレビ朝日が20世紀FOX社とタッグを組んで送る『24 JAPAN』。オリジナルは世界的大ヒットドラマの『24 -TWENTY FOUR-』で、インド版に続いてのリメイクとなる。

 最初に本稿の立場を明らかにしたい。本家『24 -TWENTY FOUR-』は日本でも根強い人気を誇っており、ストーリーやキャラクターも広く浸透している。そのため、『24 JAPAN』に対する評価も、オリジナル版を知っているかどうかで変わってくる。オリジナル版を未見の視聴者には、展開を知らずに観る楽しみ方もあり、知っていてもあくまで別物として接するという態度もある。

 しかし、リメイク作としては、どうしても本家との比較は避けられない。また、オリジナル版との違いはリメイクの醍醐味でもあり、視聴者に作品を楽しむ新たな視点を与えてくれる。

 そこで、本稿では以下のルールを設定する。1.オリジナル版のプロットや登場人物を参照しつつ、『24 JAPAN』独自のアイデアや2020年現在の知見を踏まえた考察を行う。2.レビュー記事という性質上、物語への言及は避けられないが、次回以降のネタバレは極力控える。以上をベースに進めたい。

 第1話では『24 JAPAN』のメインキャストが顔を揃えた。注目は獅堂が所属するCTU(テロ対策ユニット)。CTU東京本部のセットは雰囲気満点で、チームメンバーが着任した瞬間、本作はまぎれもなく『24』だと直感した。獅堂の肩書は第1支部A班の班長。同班には、チーフの水石伊月(栗山千明)、係長の南条巧(池内博之)、暗号解析係の明智菫(朝倉あき)がいる。

 笑顔を見せない伊月や自然体の菫は、すっかりチームの一員として溶け込んでいる。出色だったのは南条。クセ毛に髭を蓄え、目を剥いて挑みかかるように話す南条は、オリジナル版のトニー・アルメイダ(カルロス・バーナード)が画面から抜け出したようで、思わず膝を打った。

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