MCU『シーハルク』主演候補が明らかに “弁護士モノ”×アメコミの化学反応に期待

 『The Savage She-Hulk』第1号で語られた、このヒーローのオリジン(誕生秘話)は以下の通りです。ハルクに変身してしまうブルース・バナーは人目を避けながら、ずっと会っていなかった従妹で、弁護士をやっているジェニファー・ウォルターズの事務所をたずねます。彼女はブルースを保護しようと車で自宅に連れて行きますが、街を少し離れたところでギャングに襲われます。実はジェニファーは、このギャングたちが絡む事件を担当していたために狙われたのです。あっという間の出来事でジェニファーは撃たれてしまう。このままではジェニファーは死んでしまうと判断したブルースは、空き家に押し入りそこで彼女に自分の血を輸血します。これが彼女の運命を大きく狂わせる。ブルースの血を受け継いだジェニファーは従兄同様ハルクのように変身してしまう。シーハルクになった彼女はまず自分を襲ったギャングたちをぶちのめします。こうしてジェニファーの波乱の人生が始まるのです。コミックを読む限り、当初周りはジェニファー=シーハルクと気づいておらず、彼女もこれを秘密にしています。

『マイティ・ソー バトルロイヤル』(c)Marvel Studios 2017

 この第1号はあのスタン・リーさんがシナリオを書いたようで、久しぶりに彼が直接制作にたずさわったヒーローの一人と言われています。このキャラが生まれたいきさつは諸説あるのですが、実はTVドラマ化を前提としていたようです。当時、ハルクを主人公にしたTVドラマ・シリーズ『超人ハルク』(1978年〜1982年)が大人気でした。一方、この少し前に『地上最強の美女バイオニック・ジェミー』という女性ヒーローのTVドラマが人気。バイオニック・ジェミーは『600万ドルの男』というサイボーグ・ヒーローのスピンオフ(女性版)として登場して成功していました。それでこのやり方をまねて『超人ハルク』のドラマのスピンオフとして女性版ハルクのアイデアが生まれたそうです。それを受け、マーベルがコミックを出したのではないかと。

 いわれてみると“犯罪と戦う女性弁護士がピンチの時、超人になって悪党どもをやっつける”というのはTVドラマ向きではありますよね。この後、シーハルクはマーベルのコミックの世界の住人として大活躍するのですが、ハルクとちょっと違うのは、ジェニファーはシーハルクになっている時にかならずしも制御不能の巨人にはなっておらず、そして彼女自身もシーハルクの姿でいる時の方が楽みたいでこの格好の時が多い(映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』の時のブルースの人格とハルクの肉体を持つ、みたいなものだと思ってください)。

『マイティ・ソー バトルロイヤル』(c)Marvel Studios 2017

 そしてヒーローが絡む事件を専門とする弁護士をやっているという、非常にユニークな存在なのです。とはいえ“ハルク”ですからものすごく強く、アベンジャーズの一員として大活躍もしました。

 シーハルクがどういうキャラかわかっていただいたところで、彼女の実写ドラマ化が今後のMCUがどう面白くなるのか? 先にも書いたように、実はシーハルクってドラマ向きの素材だと思いました。つまり、海外ドラマの鉄板である“弁護士モノ”に仕立てやすい。このシリーズを担当するのはまた『ラブ・アフェア 年下の彼』やTVドラマのコメディで活躍する女性監督カット・コイロという報道もあるので、コミカルな作品になるかも。ドラマの方は弁護士として活躍しつつ、映画に登場する時は最強ヒーローの一人として大暴れするんでしょう。

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