イメージフォーラム・フェスティバル2020、グッチーズ・フリースクールや肌蹴る光線とのコラボも
「イメージフォーラム・フェスティバル2020」の全ラインナップが発表された。
商業性にとらわれず先鋭的・実験的な映像作品、話題作を世界中から集めて、映像アートの最新動向を紹介する「イメージフォーラム・フェスティバル」。34回目の開催となる今回は、「上映するという行為」そのものにフォーカスし、その現在的な意義について考察する。
特集「オン・スクリーン 上映について」では、「スクリーニング・コレクティブ新世代」として、これまで日本で上映される機会のなかった作品を数多く紹介し、刺激的な作品の上映活動を活発に行っているインディペンデントのオルガナイザーたちが集まり、いま観たい/上映すべき作品をプログラム。同時に、インディペンデント上映のこれからについて考えるシンポジウムも開催し、“上映すること”でさらに濃く映画と関わる活動に迫る。
上映オルガナイザーとして、グッチーズ・フリースクール、ノーマルスクリーン、SpiceFilms、イスラーム映画祭、肌蹴る光線、New Neighborsが参加。カンヌ、ヴェネチア、ベルリンをはじめ国際的に評価され、アメリカ映画において独自の地位を築いている女性映画監督ケリー・ライカートの作品などを紹介する。
さらに、「オン・スクリーン LIVE」として、“映画の一回性”に着目した上映パフォーマンスを開催。複製可能な芸術でありながら、参加する観客が違えば、観る者の気分も、フィルムの状態も、映写機の調子も異なるという映画上映の一回性について考察。こちらでは、新作中編『TOKYO TELEPATH 2020』も公開を控える映像作家・遠藤麻衣子が、音楽家・服部峻と小林七生と共に贈るフリッツ・ラングの『メトロポリス』ライブ音楽上映などが行われる。
また、日本、中国、香港、台湾、韓国の東アジア地域を対象とした公募部門である「東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション」も実施。今年は世界的な新型コロナウイルスの流行により、映画や映像分野にも大きな影響があったが、最終的に462件と昨年を上回る応募があり、ドキュメンタリー、アニメーション、実験映画など、多種多様な東アジアの“今”を映し出す25作品がノミネートされた。10月4日に行われる授賞式で、入賞5作品と観客賞が発表される。
「日本実験映画史」の特集上映では、2020年に亡くなるまで現役の映画監督として作品を発表し続けた大林宣彦監督の個人映画の代表作『EMOTION = 伝説の午後・いつか見たドラキュラ』などの貴重な作品も上映される。
イメージフォーラム ・フェスティバル2020では、すべてのプログラムにおいて国内外から83本の作品が上映される。なお、ラインナップの発表に伴い、ミュージシャンの近田春夫が手がけたメインビジュアルも公開された。
上映ラインナップ
特集:オン・スクリーン 上映について
『いかにして私はエヴァ・ラスに恋をしたか』 アンドレ・ジル・マタ/デジタル/74分/2016
『リバー・オブ・グラス』ケリー・ライカート/デジタル/76分/1994
『オールド・ジョイ』ケリー・ライカート/デジタル/73分/2006
『ミークス・カットオフ』ケリー・ライカート
出演:ミシェル・ウィリアムズ、ゾーイ・カザン、ポール・ダノ/デジタル/103分/2010
『美麗少年』ミッキー・チェン/デジタル/63分/1998
『新しい夜』清成晋太郎/8ミリ/3分/2011
For Life 三部作『梅』『竹』『松』 新井潤峰/8ミリ/9分/2012
『影をなめすと』日景明夫/8ミリ/5分/2012
『瞬息10』水由章/8ミリ/3分/2012
『Park 4 nicole』新宅謙吾/8ミリ/3分/2014
『愛讃讃』池添俊/8ミリ/8分/2018
『黒い夢』斎藤英理/8ミリ/4分/2018
『さよならは私が覗く』宮川真一/8ミリ/10分/2018
『透馬のこと』七里圭/8ミリ/3分/2018
『Signify』石川亮/8ミリ/5分/2019
『EGGS』飯嶋桃代/8ミリ/3分/2020
『Zoom in out』南俊輔/ミクストメディア/2018
『私の舌は回らない』セルピル・トゥルハン/デジタル/92分/2013
『あの夏』ヨーラン・ヒューゴ・オルソン/デジタル/80分/2017
『イリュージョニスト』シルヴァン・ショメ/オリジナル脚本:ジャック・タチ/デジタル/80分/2010 ※上映後Homecomingsによるトークあり
オン・スクリーン:LIVE
LIVE上映 『メトロポリス』 フリッツ・ラング/16ミリ/94分/1927
ライブ演奏:遠藤麻衣子<Vn.>×小林七生(FATHER)<Ds. Perc. Syn.>×服部峻<Syn. S.E.>
『我らは恐竜のみ保証する』エスペランサ・コヤード/上映パフォーマンス(16ミリ)/約45分/2014-15
『後ろに振り向け!』村上賢司/8ミリ/45分/2017
『星座』ヘルガ・ファンデール/上映パフォーマンス(8ミリ+16ミリ)/約40分/2020『トニー・コンラッド:ドリーミニマリスト』マリー・ロジエ/出演:トニー・コンラッド/デジタル/25分/2008(アメリカ)
『フェリックス・イン・ワンダーランド』マリー・ロジエ/出演:フェリックス・クービン/デジタル/49分/2019(フランス・ドイツ)
『ルチャ・リブレの女王』カサンドロ マリー・ロジエ/出演:カサンドロ/デジタル/73分/2018(フランス)
『ジェネシスとレディ・ジェイのバラッド』マリー・ロジエ/出演:ジェネシス・P・オリッジ、レディ・ジェイ/デジタル/75分/2011 (アメリカ・ドイツ・イギリス・オランダ・ベルギー・フランス)
『マニュフラクチャー』ペーター・チェルカススキー/35ミリ/3分/1985
『ハッピー−エンド』ペーター・チェルカススキー/35ミリ/11分/1996
『ショット−カウンター・ショット』ペーター・チェルカススキー/16ミリ/22秒/1987
『カミング・アトラクションズ』ペーター・チェルカススキー/35ミリ/25分/2010
『完璧な身体 エクスクイジット・コーパス』ペーター・チェルカススキー/35ミリ/19分/2015
『光と音のマシーンのためのインストラクション』ペーター・チェルカススキー/35ミリ/17分/2005
『アウタースペース』ペーター・チェルカススキー/35ミリ/10分/1999
『日曜日の人びと』トゥラポップ・サエンジャローン/デジタル/20分/2020(タイ)
『アント−マン』ヴィエット・ヴー/デジタル/27分/2018(ベトナム)
『ビタースウィート』ソーラブ・フラ/デジタル/14分/2019(インド)
『ヴィネガー・バス』アマンダ・ネル・エウ/デジタル/14分/2018(マレーシア)
日本映画実験史
『石っころ』高林陽一/8ミリ(デジタル上映)/28分/1960
『猫と少年』ドナルド・リチー/16ミリ(デジタル上映)/4分/1962
『EMOTION = 伝説の午後・いつか見たドラキュラ』大林宣彦/16ミリ(デジタル上映)/39分/1966〜67
『幻影都市』島村達雄/35ミリ(デジタル上映)/6分/1967
『風雅の技法』月尾嘉男+山田学/16ミリ(デジタル上映)/3分/1967
『南岸沿』中島崇/8ミリ(デジタル上映)/3分/1971
『スイッチバック』かわなかのぶひろ/16ミリ(デジタル上映)/9分/1976
『映画・LE CINEMA』奥山順市/16ミリ(デジタル上映)/5分/1975
『オランダ人の写真』居田伊佐雄/16ミリ(デジタル上映)/7分/1976
『コーヒー・ブレイク』古川タク/35ミリ(デジタル上映)/3分/1977
『おろち』宇田川幸洋/16ミリ(デジタル上映)/4分/1978
『スティル・ムービー』永田陽一/16ミリ(デジタル上映)/3分/1978
『審判』寺山修司/16ミリ/34分/1975
フィルムメーカーズ・イン・フォーカス
『日没の印象』鈴木志郎康/16ミリ(デジタル上映)/24分/1975 ※英語字幕付き
『写さない夜』鈴木志郎康/16ミリ/46分/1978
『草の影を刈る』鈴木志郎康/16ミリ/200分/1977
『15日間』鈴木志郎康/16ミリ(デジタル上映)/90分/1980 ※英語字幕付き
『風の積分』鈴木志郎康/8ミリ/420分/1989
東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション]
A 東アジア・エクスペリメンタル・コンペンティション1(5作品83分)
『TSUKURIME』手島亜矢子/デジタル/12分/2020(日本)
『震える壁.』ツェン・ユーチン/デジタル/10分/2019(台湾)
『差異と反復とコーヒー』工藤雅/デジタル/5分/2020(日本)
『生きる壁』黒坂圭太/デジタル/6分/2020(日本)
『盗賊にも仁義あり』マー・ランホア/デジタル/50分/2019(中国)
B 東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション2(4作品86分)
『細胞とガラス』林勇気 × 京都大学iPS細胞研究所(CiRA)/デジタル/9分/2020(日本)
『メンソール』ユ・チェ/デジタル/3分/2019(韓国)
『 DOGHEAD』竹之下桃/デジタル/5分/2020(日本)
『延辺の少女』王虹/デジタル/69分/2019(中国)
C 東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション3(5作品80分)
『ウォン・ピンの寓話2』ウォン・ピン/デジタル/13分/2019(中国)
『柄杓』クワン・チェクワイ/デジタル/17分/2019(香港)
『いちご飴』李念澤/デジタル/7分/2020(中国)
『僕と九ミリ半』奧山順市/デジタル/32分/2019(日本)
『13』磯部真也/デジタル/11分/2020(日本)
D 東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション4(5作品78分)
『赤い玉がない!』山口健太/デジタル/19分/2020(日本)
『毛』山本翔/デジタル/17分/2019(日本)
『答えのない電話』イ・セウン/デジタル/6分/2020(韓国)
『白露』チェン・シー+アン・フー/デジタル/5分/2019(中国)
『11,565キロ・プロジェクト』ベイチェン・チャン/デジタル/31分/2019(中国)
E 東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション5(5作品78分)
『ピンク・マオ』タン・ハン/デジタル/22分/2020(中国)
『I AM NOT HERE』KURiO/デジタル/9分/2019(日本)
『無住の地.』ツェン・ユーチン/デジタル/10分/2020(台湾)
『トシ シ』大木裕之/デジタル/12分/2020(日本)
『風景』イップ・ユック=ユー/デジタル/25分/2020(香港)
F 東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション6(1作品115分)
『妊娠した木とトッケビ』キム・ドンリョン+パク・キョンテ/デジタル/115分/2019(韓国)
■開催情報
「イメージフォーラム・フェスティバル2020」
【東京】
シアター・イメージフォーラム(東京都渋谷区渋谷2-10-2) 9月26日(土)〜10月2日(金)
スパイラルホール(東京都港区南青山5-6-23)10月2日(金)〜10月4日(日)
【名古屋】
愛知芸術文化センター(愛知県名古屋市東区東桜1-13-2) 11月21日(土)〜23日(月・祝)
主催:イメージフォーラム
共催:愛知県美術館
協賛:株式会社ダゲレオ出版
助成:芸術文化振興基金、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
協力:アンスティチュ・フランセ日本、オーストリア大使館/オーストリア文化フォーラム、ゲーテ・インスティトゥート東京、スペイン大使館
会場協力:株式会社ワコールアートセンター
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