“アニメーションの祭典”アヌシー映画祭 初オンライン開催となる今年の見どころを紹介
世界最大のアニメーションの祭典、アヌシー国際アニメーション映画祭の開催が今年も近づいてきた。
コロナ禍の影響で、今年は史上初めてのオンライン開催となる同映画祭は、当初の日程6月15日から20日の予定を、10日間ほど延長して6月30日までの約2週間の開催期間となる。
世界の映画祭が相次いでオンライン開催となる中、アヌシーにとっても初めての試みとなる今年の見どころ、参加方法、映画祭の今後のあり方を考えてみたい。
15ユーロで世界中から参加可能
アヌシー国際アニメーション映画祭は、1960年に第1回が実施され、今年でちょうど60周年となる。アヌシーでは毎年、一つの地域のアニメーションを特集する企画を実施しており、今年はアフリカ特集が予定されていたが、この企画は来年に持ち越しとなった。
オンライン開催に踏み切ったがゆえに当初の予定よりも規模の縮小は否めない。2月にはウェス・アンダーソンの初参加が報じられたのだが、オンライン開催決定後のプログラムにはアンダーソン関連の記述はなく、中止となった可能性もある。
しかし、映画祭の花形、長編・短編のコンペティション部門、実験的な作品を集めたコントラシャン部門に学生部門などのオフィシャルセレクションは健在、今後製作・完成予定のパイロット版などを上映するWork in Progress、著名クリエイターが登壇するマスタークラスなど、お馴染みの企画もオンラインで開催される。
今回のアヌシーのオンラインでの参加には一般15ユーロ、バイヤーなどが参加する見本市MIFAへのアクセスには110ユーロが必要となる。現地への旅費と滞在費を比べれば安いもので、世界最大のアニメーションの祭典に気軽に自宅から参加できるのは多くの人にとってはメリットだろう。
オンラインパスの購入はこちら。左が一般向け、右が見本市参加者向けのものになる。
注意事項として、同一アカウントで複数の端末から同時にアクセスはできない。そして1アカウントの最大視聴時間は60時間まで、同一作品の視聴回数は最大2回までとなるようだ。映画祭での上映回数は限られているので、無尽蔵に視聴できないようにという配慮だろうか。
オンラインでの開催によってアヌシーの今年の開催期間が延長され、当初の5日間から15日間へと開催期間が3倍になったが、物理的な会場のスケジュールに制約されないオンライン開催ならではの柔軟な対応と言えるだろう。また、通常の映画祭は各作品の上映スケジュールも固定されているが、オンラインなら都合の良い時間に好きな作品を選んで鑑賞できる。
15ユーロ(約1800円)という日本の映画館の鑑賞料金と同程度で、ここでしか観られない世界の選りすぐりの作品を鑑賞可能で、著名人のトークショーも聞けるのだからお買い得だろう。ただし、日本語字幕はないだろうが。