『妖怪シェアハウス』の“ハッピーエンド”はどんな形に? 澪の“角”に込められた女性の生き様

『妖怪シェアハウス』澪の角に込められたもの

 文章で書くとヘビーな感じのする話を、コミカルに描き、誰にでも気軽に観られるように仕上げているバランスもさすがだし、妖怪の4人も、変り者であったり、ちょっとつっけんどんであったりもするのに、根底には、優しさ……というか、人を尊重する倫理観があることが見えるので、安心して観ていられる。

 この原稿を書いてるいる時点では、第4話の放送が終わったところであるが、気にかかるのが、シェアハウスの大家で、陰陽師の末裔でもあり、神主をしている水岡(味方良介)の存在である。彼は、澪にお守りを渡し、妖気と貧乏神に取り込まれるぞと告げるが、実際、彼が割れた鏡を通して見ている澪には、鬼の角が生えている。

 今までの物語であれば、人間の女の子に鬼の角が生え、人間以外のものに取り込まれてしまうことは決していいことではない。だから、神主である水岡が鬼に取り込まれないように澪を救ってめでたしめでたしとなることも多かっただろう。

 しかし、神主は澪をさし「この女が災いをもたらした」と澪を邪悪なもの扱いもするし、澪をシェアハウスから追い出し、ひいては妖怪たちも追い出そうとしているから信頼ならない。

 和式の婚礼の儀においても、女性は頭を布で覆い「角隠し」をする風習がある。だから、女性に「角」があるということは、女性が意思をもってよからぬ方向に行っているということの象徴でもあり、それは隠さねばならないものとされてきた。

 澪の「角」は、果たしてこのような旧来的な意味を持つものなのか、また「角」がなくなればめでたしめでたしなのだろうか。「角」を問題視する神主は、澪にとってはたしてどんな存在なのだろうか。しかし、澪は人間なのだから、「角」を持つ鬼となり、妖怪とこの先もずっと生きていくことが果たして幸せなのだろうか。この澪と「角」との関係がどうなるのかが、このドラマで最も気になるところである。

■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

■放送情報
『妖怪シェアハウス』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:15~24:05放送
出演:小芝風花、松本まりか、毎熊克哉、池谷のぶえ、内藤理沙、大東駿介、味方良介、柾木玲弥、宮本茉由、大倉孝二
脚本:西荻弓絵、ブラジリィー・アン・山田、綿種アヤ
演出:豊島圭介、山本大輔
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:飯田サヤカ(テレビ朝日)、宮内貴子(角川大映スタジオ)
制作:テレビ朝日
制作協力:角川大映スタジオ
(c)テレビ朝日
公式Twitter:https://twitter.com/youkaihouse5
公式Instagram:https://www.instagram.com/youkaihouse5/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる