山下智久、色気と存在感のある役者・アーティストへ 世界挑戦までの探求心を追う
人としての光が強いことは、アイドルとしては大きな強みとなるが、役者としては欠点にもなりかねない。役に扮する以上、時に自身のオーラを抑える必要もあるからだ。だが、山下は自身の光を利用しながら、キャラクターそのものを輝かせることが巧い。たとえば『野ブタ。をプロデュース』の彰と『コード・ブルー』の藍沢は両極端の人物だが、どちらも山下が醸す“独特の雰囲気”が観る者を一層惹きつけた。
もちろん、その一因は山下が持つスター性にもあるが、先日放送された『All over the World ~山下智久と世界で出逢う~』(日本テレビ系)で、『THE HEAD』共演者のアレクサンドル・ウィロームから「優しく品があり 学ぶ姿勢やベストを尽くす姿に驚いたよ」と称賛され照れ笑いを浮かべる姿に、答えを見た気がした。おごることなく、謙虚に、そして貪欲に。
『THE HEAD』では、独学で身につけた流暢な英語での演技を披露。日本では英語が話せるだけで“かっこいい”とされ、山下に掛け合わせれば、鬼に金棒、虎に翼なわけだが、それも彼の並々ならぬ努力の賜物。マネージャーもいない中、単身スペインでの撮影は「泣きそうになった」(日本テレビ系『おしゃれイズム』にて)とも話す山下だが、他キャストに埋もれることなく堂々と芝居する姿が印象的だ。
かたや昨年『A-Studio』(TBS系)に出演した際には、ファンから常に見られていることを「全方位から守られている気分」と話しているのを聞いて、天性のアイドルだと驚かされた。支えてくれるファンの期待に応えることで、自身を成長させていく。ファンに感謝しているからこそ、役者としての新境地開拓はもちろん、原点ともいえるアーティスト活動でも楽しませる。なんとも羨ましい関係である。
山下がジャニーズ事務所に入所したのは11歳。先輩・滝沢秀明に命名された“山P”という愛称が似合う天使のような少年は、色気と存在感のある役者・アーティストへと進化を遂げた。既出の『All over the World~』で「成功するために最も必要なこと」との問いに、「俳優として人間として 常に自分の安全地帯から踏み出そうとしています 新しいことを試そうとしたり 今自分ができることをやろうとする チャンスを一切逃したくないから いつも次のレベルを見据えています 諦めたくないから いつも向上しようとしている」と真摯に語った山下。“人類の奇跡”と称される彼の探求心に、限りはないようだ。
■nakamura omame
ライター。制作会社、WEBサイト編集部、専業主婦を経てフリーライターに。小学生男児2人の母。ママ向け&エンタメサイトを中心に執筆中。Twitter。