林遣都、1人3役を成立させたむき出しの演技力 『世界は3で出来ている』が描いた“今、この時”

林遣都、1人3役を成立させたむき出しの演技力 『世界は3で出来ている』が描いた“今、この時”

 全世界で、甚大な被害を及ぼした新型コロナウイルス。人命はおろか、社会構造や、日常さえも根本から破壊してしまった。この事態を経験した“今を生きる”人々はもう、それ以前の感覚に戻れないのかもしれない。「密閉・密集・密接」の「3密」を避ける意識、ソーシャルディスタンス、テレワーク……働き方も、他者とのかかわり方も、全世界規模でドラスティックな“激変”が起こってしまった今、ものづくりの「題材」にも大きな変動が訪れている。

 ジャ・ジャンクー監督は、新型コロナウイルスをテーマにした短編映画を発表。行定勲監督や上田慎一郎監督はリモート映画を製作。柄本時生、岡田将生、落合モトキ、賀来賢人の4人が結成した「劇団年一」はリモート演劇を製作し、NHKは脚本家・坂元裕二と組んでリモートドラマを作り上げた。作品の内容はもとより、「今できる」範囲で、ものづくりを行い続ける表現者たちの崇高な精神には、大いに勇気づけられる。

 世界がどう移ろおうとも、その「変化」すら題材に昇華して創作する――。そしてここに、新型コロナウイルスが産み落とした新たな傑作ドラマが誕生した。当代きっての演技派・林遣都が3役を演じた『世界は3で出来ている』(フジテレビ系、6月11日放送)だ。

 2007年の映画『バッテリー』から一線を走り続ける林が、3つ子役に挑戦するというだけでも一見の価値はあるが、本作で描かれるのは「ウィズコロナ」の世界。つまり、全国的に緊急事態宣言が明け、都内の休業要請の緩和がステップ3に移行した“今、この時”だ。人と会えるフェーズにまで達したが、3密を避け、ソーシャルディスタンスを遵守せねばならないという“新たな常識”に苦心する3つ子の姿が、生々しくもユーモラスに、そして切なく描かれている。

 商事会社に勤務する望月勇人は、コロナ禍の3ヶ月間、テレワークを行っていた。緊急事態宣言が解除されたある日、彼のもとに3つ子の兄・泰斗と弟・三雄がやってくる。3ヶ月ぶりに顔を合わせた3人は、泰斗が持参したバターラーメンを食べつつ、それぞれの生活に訪れた変化を語り合う。

 本作の脚本はNHK連続テレビ小説『スカーレット』の水橋文美江、プロデュース・演出は『フジテレビ開局60周年特別企画 教場』の中江功が務めている。2作とも林の出演作であり、中江は「彼以外に考えられないので、断られたらこの企画はなかったことにしようと思っていました」とオフィシャルインタビューで語っている。

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