アニメ化不可能と謳われたダークファンタジー 『ドロヘドロ』成功のカギを探る

 昨年末に行われた「TOHO animation RECORDS the LIVE 2019 Winter」。同レーベルとしては初のフェス開催であったが、関係者から2020年に向けての抱負として語られたのが、「新春スタートの『ドロヘドロ』に全力投球」というものだった。

 寡聞にして知らなかった『ドロヘドロ』とは果たしてどういった作品か、興味本位で迎えた1月12日の第1話放送を観て驚かされた。

 主人公は、魔法によって頭をトカゲに変えられたカイマンと、およそヒロインらしからぬマッチョなニカイドウ。2人は冒頭からいきなり大立ち回りを演じ、「魔法使い」と呼ばれ、姿形は人間である相手をいきなりバラバラに切り刻み、血しぶきが画面に舞い散ったからである。

 深夜帯とはいえ地上波のテレビで放送されたことが脅威とさえ思える『ドロヘドロ』。本稿執筆時点で10話を放送し終え、ますます混沌に拍車がかかっているダークファンタジーがいかなる作品かを紐解いていきたい。

 原作は林田球による同タイトルの漫画で、小学館『スピリッツ増刊IKKI』で2001年に連載を開始。掲載誌は2003年創刊の『月刊IKKI』、2015年創刊の『ヒバナ』と移り、2017年から終了までは『ゲッサン』で連載された。

 紙媒体では掲載誌の休刊と共に終了する連載も珍しくないが、2作目の長編で新人といっていいキャリアで連載を始め、4誌を渡り歩き全23巻の長期連載を可能にしたのは、それだけ本作の中毒性の高さを物語っている。

 人気漫画となれば当然のこととして、過去にアニメ化の話が持ち上がったこともあったが頓挫している。かつて『北斗の拳』のゴア描写がアニメ化に際しかなり抑揚の効いたものとなったが、本作のハードなスプラッター描写を見れば、アニメ化、ましてテレビで……となれば躊躇することは想像に難くない。恐らくは、検討段階で断念した企画もかなりの本数に登るであろう。

 その、端から見ても映像化は困難と思われた原作を、TOHO animationと、『この世界の片隅に』『ゾンビランドサガ』と振り幅の広い作品を手掛けるMAPPAがいかにTVアニメ化してみせたか。

 原作の林田球は東京芸大卒のイラストレーターの顔も持ち、人間が住む都市である「ホール」と「魔法使いの国」という架空の舞台を、細部にわたるまで緻密に、かつ破綻のないデッサン力で描いている。その描写は、アニメの背景として再構成する場合に嘘がないということでもあるが、線や色彩など省力化、置き換えに求められるセンスのレベルの高さは計りしれない。

 そこで世界観設計・美術監督を『スチームボーイ』『ムタフカズ』など、サイバーパンク作品で定評ある木村真二が担当しているだけに、原作ファンも納得の世界観を映像化している。原作でもこだわられ、随所に登場する餃子やラーメンなどの食べ物も、深夜の飯テロといえるほど美味しそうに描写されている。一方で、魔法で表れるキノコのサイケな色彩のまがまがしさが対象的に画面を彩っている。

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