『スカーレット』戸田恵梨香×林遣都、幼なじみの得難い関係性 喜美子に学ぶ仕事との向き合い方
喜美子(戸田恵梨香)が八郎(松下洸平)に新しい関係を築こうと言ってから数カ月が過ぎた。喜美子と八郎と武志(伊藤健太郎)の3人で食卓を囲むこともあり、喜美子は穏やかな幸せを感じていた。NHKの連続テレビ小説『スカーレット』が22週目の初日を迎え、信作(林遣都)の頼みに答える喜美子の仕事観や揺るがない信念が伝わる回となった。
信作が町役場の職員・鳥居(山口勝成)とともに工房にやってきた。喜美子を待つ間、信作と鳥居は喜美子の作品を眺めているのだが、鳥居は「地味やなあ……よう高い値段で売れますね」「こんなんのどこがええんやろう」とつぶやく。信作は「絶対本人の前で言うなよ」と言うが、タイミング悪く、喜美子は鳥居の卒直な感想を聞いてしまう。
その後、信作からの頼みで、観光客向けの「一日陶芸体験教室」を急遽引き受けることになった喜美子。喜美子は観光客に喜んでもらえるような陶芸体験を考え始めるのだが、信作は釈然としない表情を浮かべ、「無理してこびんでええ」「お客さんのご機嫌うかがうようなこと」と言う。しかし喜美子はさっぱりとした顔で「喜んでもらいたい思うんがこびるいうことなんやったら、うちはいくらでもこびるで。仕事として引き受けたからにはな?」と返す。
喜美子の仕事観は変わらない。「謝礼程度しか出せへん」と申し訳なさそうに言う信作に「そやけど仕事は仕事やん」と返す姿は潔い。どのような内容であっても、引き受けるからには精一杯やる。この姿勢は大阪で働いていた頃から変わっていない。
だが、信作がすっきりしない表情を浮かべていたのにはもう一つ理由があった。信作は、鳥居の発言を聞いた喜美子を案じていたのだ。観光客の中には、喜美子の心が伝わらない人や簡単にひどいことを言う人が来るかもしれない。実際、喜美子は鳥居の発言を振り返り、苦い表情を見せていた。
しかし喜美子は、信作の目をまっすぐ見てこう言った。
「一旦引き受けたもんを断るわけないやろ。ほんでうちのこと何や思うてんねん。信作からの頼み事断るわけないやろ」
「陶芸家」の喜美子を気遣う信作の思いを汲みながらも、「幼なじみ」として頼みを引き受ける喜美子の姿は格好いい。喜美子の「陶芸家」としての情熱も魅力的だが、さまざまな人から頼られる「人のよさ」があらためて伝わってきた。
■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『スカーレット』
NHK総合にて、2019年9月30日(月)〜2020年3月放送予定
出演:戸田恵梨香、富田靖子、大島優子、松下洸平、福田麻由子 ほか
脚本:水橋文美江
制作統括:内田ゆき
プロデューサー:長谷知記
演出:中島由貴、佐藤譲
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/scarlet/