もう一度“胸キュン”を取り戻そう 『恋はつづくよどこまでも』は少女漫画的展開が全開!
天堂の「ド新人」「岩石」「この仕事向いてない」「実害出す前に消えろ」などなど、今のご時世ヒヤリとしてしまうドSな言動にも、何やら理由がありそうだ。来生が「勇者が魔王を倒すところが見たい」というのは、決して興味本位なだけではなく、七瀬なら天堂から消えた笑顔を取り戻せるのではという期待からだろう。天堂の抱える過去と向き合うことが、魔王の真の姿に近づくキーとなりそうだ。
……と、普通の女の子が、ワケありドS王子に恋をして、周囲のやさしい人たちに囲まれて、恋に仕事に体当たりで成長していく本作。近年、テレビでこれほどわかりやすいラブコメドラマは少なくなった気がする。主人公がどこか息苦しさを感じていたり、周囲に毒の強い人がいたりと、恋にまっすぐにひた走る以前の物語が増えているような。
それは、私たちが生きる現実がそれだけ複雑にこじれているからなのかもしれない。どこか冷ややかな眼差しで、斜に構えて生きていくほうが、省エネで、傷つかずに済むからだろうか。誰かを好きになって必死になることが、かつては「王道」と呼ばれていたが、今の私たちにとっては「ファンタジー」でしかないのかもしれない。
「助けてください」なんて言えない自己責任の時代。新人を「バカ」なんて叱れない、人の恋愛に口を出せないハラスメントの時代。多様性を認め合おうとしながら、今逆に距離を取りすぎて、人とぶつかることそのものが少なくなっているのだとしたら。この作品は、もう一度王道の胸キュンを取り戻そうという挑戦作なのかもしれない。凝ったパンをいろいろ食べてきて、王道のクリームパンの美味しさに気づくように……。
■放送情報
火曜ドラマ『恋はつづくよどこまでも』
TBS系にて、1月14日(火)スタート 毎週火曜22:00~22:57放送
出演:上白石萌音、佐藤健、毎熊克哉、昴生(ミキ)、渡邊圭祐、吉川愛、堀田真由、香里奈、平岩紙、蓮佛美沙子、山本耕史
原作:円城寺マキ『恋はつづくよどこまでも』(小学館 プチコミックフラワーコミックスα刊)
脚本:金子ありさ
チーフプロデューサー:磯山晶
プロデューサー:宮崎真佐子、松本明子
演出:田中健太
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS