年末企画:井中カエルの「2019年 年間ベストアニメTOP10」 アニメ表現そのものに多様性を感じる1年に

井中カエルの「2019年アニメTOP10」

 リアルサウンド映画部のレギュラー執筆陣が、年末まで日替わりで発表する2019年の年間ベスト企画。映画、国内ドラマ、海外ドラマ、アニメの4つのカテゴリーに加え、今年輝いた俳優たちも紹介。アニメの場合は2019年に日本で劇場公開された映画、放送・配信されたアニメの作品から、執筆者が独自の観点で10本をセレクト。第4回の選者は、映画・アニメを中心に論じるブログ「物語る亀」を運営するブロガー・ライターの井中カエル。(編集部)

1. 『冴えない彼女の育てかた Fine』
2. 『羅小黒戦記』
3. 『スター☆トウィンクルプリキュア 星のうたに思いを込めて』
4. 『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』
5. 『劇場版 響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜』
6. 『劇場版 Fate/stay night[Heaven's Feel] Ⅱ lost butterfly』
7. 『クロース』
8. 『ヴィンランド・サガ』
9. 『ぼくらの7日間戦争』
10. 『幸福路のチー』

 2019年は映像技術の革新を感じさせる作品も多く『スパイダーマン:スパイダーバース』『プロメア』などで新しいアニメーションの形を提示するとともに、手書き表現の良さを追求した『海獣の子供』『エセルとアーネスト ふたりの物語』などもあり、アニメ表現そのものが多様性のあるジャンルだと表明した。上記の作品や『天気の子』がどうしてもランキングに入らないほどの層の厚い嬉しい一年になった。

 10位の『幸福路のチー』は、台湾の歴史と女性の問題を描いたアニメーションとして応援したくなる作品であり、同時に評価しなければいけない作品と感じている。9位の『ぼくらの7日間戦争』は30年前の話題作を現代の社会問題と絡ませて蘇らせた物語が印象に残り、現代の若者と大人の関係性に批評性のある作品に。

 8位の『ヴィンランド・サガ』は、このランキングでは唯一のテレビアニメだが、WIT STUDIOの得意とする暴力表現の過激さと快楽性のバランスが見事。人間の営みと関係ない自然の美しさも印象に残り、哲学的な思想も含む難しい原作を高いクオリティで映像化し、スタジオの勢いを感じさせられた。7位の『クロース』は、11月からNetflixで配信が開始された作品。CGが多くなり忘れ去られてしまった海外の手書きアニメーションが現代のクオリティにアップデートされた映像美が魅力的だ。

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