年末企画:小田慶子の「2019年 年間ベストドラマTOP10」  アラフィフの三角関係とホームドラマ回帰の兆し

年末企画:小田慶子の「2019年 年間ベストドラマTOP10」  アラフィフの三角関係とホームドラマ回帰の兆し

 リアルサウンド映画部のレギュラー執筆陣が、年末まで日替わりで発表する2018年の年間ベスト企画。映画、国内ドラマ、海外ドラマ、アニメの4つのカテゴリーに分け、国内ドラマの場合は地上波および配信で発表された作品から10タイトルを選出。第17回の選者は、雑誌で日本のドラマ、映画を中心にインタビュー記事などを担当するライター/編集者の小田慶子。(編集部)

1.『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』(NHK総合)
2.『きのう何食べた?』(テレビ東京系)
3.『サギデカ』(NHK総合)
4.『腐女子、うっかりゲイに告(コク)る。』(NHK総合)
5.『だから私は推しました』(NHK総合)
6.『凪のお暇』(TBS系)
7.『わたし、定時で帰ります。』(TBS系)
8.『あなたの番です』(日本テレビ系)
9.『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』(NHK総合)
10.『フルーツ宅配便』(テレビ東京系)

総評

 ドラマは現実社会の表層をネタにして深層を映し出すもの。残念ながら2019年の現実は厳しかったようで、連続ドラマの主人公たちは、とにかくみんな疲れていた。『凪のお暇』も『同期のサクラ』(日本テレビ系)も『だから私は推しました』も全て、ヒロインが会社を辞めてしまう。辞めないためには『わたし、定時で帰ります。』のヒロインのように毅然と定時退社を貫くぐらいしなければならない。2018年は『おっさんずラブ』(テレビ朝日)、『アンナチュラル』(TBS系)のように、職場で心を通わせながら働く人たちのドラマが目立ったが、今年は「やっぱり働くのはしんどい。周りの空気読まなきゃいけないし、人間関係に疲れるし、お給料も安いしね」という会社員(特に女性)の本音が見えてきたように思えた。

 もうひとつ気になったのは、恋愛機能不全世代ともいえるアラサーや20代に向けて、どんな恋愛ドラマが“刺さる”のかということ。20歳の75%は恋人がいないというデータもあり、もはや「恋愛なんて面倒」と思われている現在、従来のボーイミーツガール的なラブストーリーや禁断の愛の物語では共感を得られない。『G線上のあなたと私』(TBS系)のように、じれったいほど何回もお互いの気持ちと覚悟を確かめてから付き合うのでなければ、リアルじゃない。逆に40代、50代の物語ならば、過去に恋愛をしてきたことや新しい恋を楽しむ様子にも説得力があるので、『グランメゾン東京』(TBS系)、『まだ結婚できない男』(カンテレ・フジテレビ系)ではアラフォーどころかアラフィフの三角関係が展開していた。筆者にとっては同世代なので面白く見たけれど、果たしてこれでいいのか。

 また、ホームドラマ回帰の兆しもあって、『俺の話は長い』(日本テレビ系)や『G線上』の幸恵(松下由樹)の家の場面は、懐かしいホームドラマの構造だった。一周回って再ブームが来るのか? よく考えてみれば、ここまで書いてきたように会社はしんどい場所で、恋愛もしないとなれば、頼れるのも愛情の対象になるのも家族しかいないわけだ。他に、男の2人暮らしを描いた『きのう何食べた?』もホームドラマの進化形と言えるかもしれない。

 そんなことを考えながら、今年の連続ドラマベスト10を選ばせてもらった。配信サービスの攻勢を受け、テレビ業界が新しい方向性を探っている中、クオリティの高さだけでなく、題材(ネタ)、放送形態など、何か新しい要素を持った作品を中心にした。

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