松坂桃李が明かす、『いだてん』出演のプレッシャー 現場に呼ばれずフェードアウトを疑った時期も

松坂桃李が明かす、『いだてん』出演のプレッシャー 現場に呼ばれずフェードアウトを疑った時期も

 あと1カ月も経たないうちに、オリンピックイヤーを迎える日本。そして時期を同じくして、1964年に東京オリンピックへ情熱を注いだ人々の姿が描かれてきた『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』(NHK総合)も終盤に差し掛かり、物語上ではこちらもオリンピック目前だ。

 事務総長を解任されてしまった田畑(阿部サダヲ)の元に岩田(松坂桃李)や松澤(皆川猿時)らが駆けつけたのは第44回終盤のこと。先週放送された第45回では、皆が田畑と作り上げるオリンピックを諦めず、田畑の自宅で裏組織員会が開かれていた。聖火リレーの準備、アフリカ諸国を中心とした世界各国の招致、裏で決めて行ったことを岩田が表(組織員会)で提案し、着々と決議されていく。田畑との二人三脚でスタートした東京オリンピックを諦めなかった岩田の奮闘が印象に残る回だった。

 今回リアルサウンド映画部では、岩田役の松坂桃李にインタビューを行い、『いだてん』の撮影の裏話を聞いた。

現場に呼ばれず、フェードアウトを疑った時期

ーー松坂さんは、戦後が描かれた後編で主に登場していますが、1回でも姿を見せていたり、撮影のスケジュールはどうなっていたのでしょうか?

松坂桃李(以下、松坂):2018年の9月に撮影に入ってすぐ、上野のロケで「東京」と掲げるシーンを撮ったんですが、その時はいきなりそのシーンの撮影だったので、阿部さんや松重(豊)さんも一緒に、「これはどういうテンションなんだろうねえ」という話をしてたんです(笑)。とりあえず全員が「熱量を大爆発させてやろう!」ということで一致して撮影した記憶がすごく残っています(笑)。

ー一初めにハイライトとなるシーンの撮影をしてから、過去に振り返って撮っていたんですね。

松坂:そのあとちょっと撮影したきりで、そこからうんともすんとも呼ばれず、このままフェードアウトだなって思ってたんですよね(笑)。金栗四三編が始まって盛り上がりを見せていた時に、松重さんと違うドラマでご一緒する機会があって、現場で「(『いだてん』は)もうないね!」と話してて(笑)。でもまだ田畑ブロックが残っている以上は呼ばれることはあるという希望を持っていたので、年を跨いで気持ちをどう持続させたらいいかなと考えたり、初めての経験が多かったです。

ーーすごく間が空いてから岩田が本格的に活躍を見せるシーンの撮影に入った時はどんな感覚だったのでしょう?

松坂:実際のところ、今年もう一度現場に入るまでは、完全にこれはもう役が抜けているなと焦りました。松重さんと「もう、役忘れたよねぇ! 覚えてないよね!」「そうですね」と話をしながら、「でも俺、次ちょっと現場行ってくるんだよ」「わかりました。僕も後から追います」というやりとりをして。実際にもう一度インした日の撮影が、去年もやっていた都知事室だったので、こんな感じでしたねと感覚を取り戻しやすかったというか。ちょっとずつ去年のテンションが戻ってきて、だんだんと田畑さんを中心として、お芝居が定着していく感じがありました。

ーー松重さんがインタビューで、出ない間のスパンが長かったから、視聴者として感情移入してドラマを見て楽しめたと言われていたんですが、松坂さんはいかがでしたか?

松坂:僕も本当にその感覚でした。自分が関わっている作品をお客さん目線で見られることはあまりないんですが、これだけ期間が空くとこういうことになるんだなと新発見でした。治五郎さん(役所広司)の死の回はすごく悲しくなりましたし、3人目の主役が欠けてしまったくらいの悲しさを感じました。

影響を受けた、田畑スピリット

ーー『いだてん』後編の主人公である田畑さん中心のシーンは、いつも楽しそうだなと感じます。

松坂:現場でも阿部さんのお芝居が本当に面白いです。岩田という役を通じて、阿部さんの芝居を間近で見られるお客さんとして現場にいられたのが、僕にとって贅沢な良い時間でした。裏組織委員会のシーンでは、阿部さんが怒りながら服を脱ぎ始めてしまって、「なに!? もう我慢ならん!」と言ってズボンを下げるんです(笑)。言葉だけでも面白いんですけど、ほぼパンイチ状態になって、「何するんですか、田畑さん!」って言ったら「ちょっと、もう我慢ならん!」ってバーンって家を出ていくシーンがあって、そこが特に面白かったです。

ーー岩田が田畑に付いていく、そこまで惚れる要因って何だと思いますか?

松坂:田畑さんは、僕から見ると嵐のような人で、本来、嵐って避けたいものだと思うんです。でも田畑さんの嵐ってどこか巻き込まれたいと思わせるような魅力を持っているなと。実際に相対してみると、この人はすごいことを起こすんじゃないか、この人と一緒にいると楽しいことがあるんじゃないかと思わせてくれるから、演じた阿部さんの魅力が大きいのかなと思いますね。

ーーもし、松坂さんの近くにそういう人がいたらどうしますか?

松坂:いや、避けたいです(笑)。方向性が一緒であれば乗っかってみたいなと思いますけど、目指すべきところが違うのであれば、ぜひとも避けたいですね(笑)。

ーー松坂さん自身が影響を受けた、田畑さんのスピリットは?

松坂:一つのことを成し遂げるために、田畑さんのように周りの顔色を伺うことなく、こういうことをやろう! というのを全面的に押し出していける人はすごく強いと思いました。それは人を惹きつけるし、何より成功に繋がる一番の近道なんだろうなと、今回の作品を通して改めて思ったことですね。そういう人がいてほしいと自分の中で感じていたりしますし。こんな風に熱く、面白いことができるんだからやってみようよという自分の気持ちを押し出してもいいんじゃないかとは考えさせられました。

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