『その瞬間、僕は泣きたくなった-CINEMA FIGHTERS project-』インタビュー

佐藤大樹×井上博貴監督が語る、詩・音楽・映像が融合した「CINEMA FIGHTERS」ならではの挑戦

 EXILE HIRO、ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)代表の別所哲也、作詞家・小竹正人の3人によって打ち出された、詩と音楽、映像を一つに融合するプロジェクト「CINEMA FIGHTERS project」。その第3弾となる『その瞬間、僕は泣きたくなった -CINEMA FIGHTERS project-』が全国で公開されている。

 そのうちの一編『魔女に焦がれて』で主演を務めたのが、EXILE/FANTASTICS from EXILE TRIBEのパフォーマーとして活躍する佐藤大樹だ。本作は、佐藤演じる高校3年生の主人公・雅人が、突然“霊感”を備わってしまい、ある事がきっかけで「魔女」呼ばわりをされクラスで疎外されてしまう初恋の相手・真莉愛(久保田紗友)と卒業前に繰り広げる青春ラブストーリー。映画『ママレード・ボーイ』『センセイ君主』『4月の君、スピカ。』など、これまでも学園を舞台にした映画に出演してきた佐藤が、今回音楽と映像が一体化した「CINEMA FIGHTERS project」の作品だからこそ成し遂げられた挑戦とは。本作を手がけた井上博貴監督との対談で、パフォーマー兼役者として向き合った自身の芝居やテーマソング「ライラック」について、そして他作品の魅力について話を聞いた。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

井上「大樹くんはすごく純粋で強い部分を持っている」

――今回の作品「魔女に焦がれて」の企画は、どのような経緯で実現に至ったのですか?

佐藤大樹(以下、佐藤):僕はもともと、いつか「CINEMA FIGHTERS project」に出たいと思っていて、作詞家の小竹正人さんにもその旨を伝えていたので、ようやく念願が叶ったという感じです。「CINEMA FIGHTERS project」だと、主演アーティストの所属グループが主題歌を担当するケースが多いのですが、今回はLDH所属の新人アーティストである琉衣さんの「ライラック」が採用されていて、そこもフレッシュなポイントだと思います。学園モノでありながらファンタジーの要素もあって、ショートフィルムらしい作品だと感じています。

井上博貴(以下、井上):私は「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」から推薦があって、小竹さんに作品を気に入っていただけたことから、この企画に参加させていただきました。「CINEMA FIGHTERS project」は、楽曲と映画の融合がポイントとなる企画で、私にとっても挑戦的な作品となりました。今作はファンタジーではありますが、日常の物語がベースにあって、観た人に「現実にこういう話はありそうだな」と感じてもらえるようなリアリティを大切にしています。

――たしかに「魔女に焦がれて」では、ヒロインは予知能力を持っているものの、占いの延長のような感じで、実際にありそうな話です。恋愛物語としても、主人公たちの繊細な感情を描いていてリアリティがありました。

佐藤:もしかしたら、この物語は小竹さんが理想としていた青春時代だったのかもしれないと、演じていて感じました。僕が演じた主人公は、実際の僕の高校時代とは全然違うんですけれど、でも「こういう子はたしかにいたな」と感じられる親近感はあって、だからこそ心情はイメージしやすかったかもしれません。

井上博貴監督

――お二人はお会いした際、お互いにどんな印象を抱きましたか?

佐藤:井上監督はあまりにイケメンだったので、最初は「俳優さんかな?」と思いました(笑)。プロデューサーの方から、寡黙な人だと伺っていたのですが、実際に会ってお話ししたら気さくな方でした。本読みの段階で「ここはもう説明しなくても伝わるから、カットします」という感じで、ラフに制作を進めていくのも印象的でした。一緒にお弁当を食べた時に、いろいろな映画の話をして、すごくユニークな考えを持った人だと感じるようになりました。

井上:僕は最初に会った時、甥っ子を見るような感覚で「可愛いな」と思ってしまいました。それはさわやかで笑顔が魅力的という外見的な意味合いだけではなくて、その芯にものすごく純粋で強い部分を持っていて、魅力的だと感じたからです。それは本読みやリハにおいても感じたことで、仕事に対しても彼はすごく真っ直ぐに向き合うんです。本作ではあえて主人公にはあまりセリフを言わせずに、表情や仕草で心情を表現してもらおうと思ったんですけれど、大樹くんの台本を覗き込んでみたらものすごい書き込みがしてありました。やっぱり、彼はさりげない感じで振る舞っているけれど、すごく努力をする人なんだと思いました。大樹くんの真摯な態度を見て、私も想像力が広がった部分があります。

佐藤「普段の自分と雅人の心情が重なる瞬間があった」

――抑制的な表情の演技は、今作の大きな見どころです。佐藤さんはFANTASTICSのパフォーマーとして、常日頃から身体的な表現をしていますが、その経験は活かせましたか?

佐藤:ダンスでは自分をいかにかっこよく見せるかが大事で、そのために身体の動きの一つひとつを丁寧に作り込んでいきます。客観的な視点から動きをコントロールするという点では、ダンスと演技は通じる部分があると思います。ただ、今回はアプローチが正反対で、主人公・雅人の内向的な性格や心情を動きや表情で表現しなければいけないので、とても難しかったです。特に歩き方や立ち姿が難しかったですね。監督から「もっと猫背で」といった指示もあって、こうした表現は自分で思う以上に強調しないと伝わらないということがわかり、勉強になりました。

井上:大樹くんには、セリフの行間をいかに表情や身体で表現するかを意識していただいたのですが、私たちが思う以上に熟考して演じてくれたという印象です。大樹くんの演技には、私はもちろん、プロデューサーや助監督など映画畑のスタッフ陣も大いに感心していました。

佐藤大樹

佐藤:そうなんですか? 僕自身は苦戦していたのですが、嬉しいです(笑)。でも、普段の自分ではない役を演じるというのは、とてもやりがいがある仕事だなと、本作を通じて改めて思いました。中でも印象に残ったのは、お父さんと会話するシーンですね。僕自身はあまりお父さんと話すことはないのですが、雅人は気まずい感じがありながらも少しずつお父さんとコミュニケーションを深めていて、普段の自分と雅人の心情が重なる瞬間があったんです。

井上:実は私も同じシーンが一番印象に残っています。まさに脚本で思い描いていた通りの芝居で。カメラも主人公の感情に合わせて動いて、大樹くんの表情に寄っていくんですけれど、そうすると大樹くんの表情も変わっていって。このワンシーンの仕上がり次第で、作品全体の印象も変わっていたと思います。

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