『アースクエイクバード』では日本語に挑戦 アリシア・ヴィキャンデルに聞く、チャレンジ精神の源にあるもの

A・ヴィキャンデル、日本語挑戦の背景

 Netflix映画『アースクエイクバード』が11月15日に全世界で同時配信された。日本在住経験のあるイギリス人作家スザンヌ・ジョーンズによる同名ミステリー小説を、日本に滞在した経験を持つ『アリスのままで』『コレット』のウォッシュ・ウェストモアランドが監督を務め映画化した本作。日本・東京を舞台に、ある日、行方不明の末に死体となって発見された外国人女性リリーと、リリーの友人で殺害容疑をかけられたルーシー、そして2人と関わりのあったミステリアスな日本人カメラマン禎司との関係を描いたサスペンス・ミステリーだ。

 今回リアルサウンド映画部では、主人公ルーシーを演じたアリシア・ヴィキャンデルにインタビュー。本編で披露している流暢な日本語の習得方法や日本での撮影、本作がハリウッドデビューとなった小林直己の印象、そして常にチャレンジし続ける姿勢について、来日した本人に話を聞いた。

「ここ何年かでベストな体験」

ーー何よりもまず、本編での日本語のセリフ量、そしてその流暢さに驚きました。

アリシア・ヴィキャンデル:(日本語で)ありがとうございます。

ーー本当にうまいですね。どの程度勉強したんですか?

ヴィキャンデル:それはもうたくさん練習しました。8週間ですべて習得できたらいいけれど、さすがにそれは無理でした(笑)。私はもともとスウェーデン語の作品からキャリアをスタートして、それから英語の作品に出るようになったので、言葉を覚えること自体には興味があったんです。ただ、日本語の習得は私にとっては大きなチャレンジで、とにかくたくさんの時間をかけました。

ーー具体的にどのように習得したのですか?

ヴィキャンデル:まずは日本語の構成や仕組みを学びました。そもそも英語やスウェーデン語とは文法が違うので、日本語がどう成り立っているのかを勉強したんです。目上の人に話す時に語尾が変わってくるのも、今回初めて知ったことでした。とにかくすべての言葉の意味を知る必要がありました。それに、ただ音を真似るだけだとどうしてもニュアンスがおかしくなってしまうので、膨大な資料を読んだり映像を観たりしながら、どこに強弱をつけたらいいのかも学んでいきました。現場でも、(小林)直己さんを含め、共演者やスタッフの皆さんからアドバイスをもらいながら、毎朝2時間ぐらいセリフをループしてから撮影に入っていました(笑)。

ーーセリフの半分ぐらいは日本語でしたよね。かなり大きなチャレンジだったように思います。

ヴィキャンデル:そうですね。だけど今回は、日本に来て仕事をするチャンスだったんです。言葉を覚えることによっていろんな機会も増えると思うし、Netflix作品ということで、東洋と西洋が出会う場にもなると思いました。以前、夫(マイケル・ファスベンダー)と日本に来た際、レストランで食事をしながら、「日本は本当にいい国だからもっと長くいたいね。何か仕事があればベストかも」という話をしていたんです。そのちょうど1年後に、この話が来たんです。なので、まさにいい機会でした。もちろんそれだけではなく、作品自体にも惹かれました。原作からの脚色も素晴らしかったし、ルーシーというキャラクターの複雑さにも惹きつけられました。

ーー日本での撮影はどうでしたか?

ヴィキャンデル:東京はもちろん、佐渡島や東宝スタジオなどで行った日本での撮影は本当に素晴らしかったです。ここ何年かでベストな体験でした。日本の方たちはとても優しくて、クルーもスタッフも素晴らしかった。仕事に対する姿勢もとても尊敬できるものです。監督のウォッシュ(・ウェストモアランド)は日本に住んでいたこともあるので、彼の作品として日本でしか成立しないものだったと思うし、彼にしか撮れなかったと思います。

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